

新品のロッソタイヤに交換したのに、最初の100kmで転倒リスクが3倍以上に跳ね上がります。
ピレリの「ディアブロ ロッソ(DIABLO ROSSO)」シリーズは、スーパーバイク世界選手権(SBK)で培われた技術をベースに開発された、ストリート向けスポーツタイヤです。ただ一口に「ロッソ」といっても、ラインナップはいくつかに分かれており、用途やバイクのキャラクターによって選ぶべきモデルが違います。
現行のメインラインナップは以下の通りです。
| モデル名 | カテゴリー | 主な対象ライダー | おおよその寿命目安 |
|---|---|---|---|
| DIABLO ROSSO III(ロッソ3) | スポーツ | ツーリング〜峠メイン | 8,000〜13,000km |
| DIABLO ROSSO IV(ロッソ4) | スポーツ | ツーリング〜スポーツ走行 | 10,000〜15,000km |
| DIABLO ROSSO IV CORSA(ロッソコルサ) | スポーツ〜ハイグリップ | サーキット兼街乗り | 5,000〜8,000km |
| DIABLO ROSSO SPORT(ロッソスポーツ) | スポーツ | 250cc以下の小排気量車 | 10,000〜12,000km |
ロッソシリーズの大きな特徴は「グリップ力と耐久性を同時に追求している」点です。一般的にハイグリップタイヤは摩耗が早いものですが、ロッソ4はシリカを高い割合で配合したコンパウンドを採用することで、熱ダレしにくく転がり抵抗を低減しながらも、しっかりとしたウェットグリップも確保しています。
つまり「攻めたい日もある、でもツーリングもしたい」という大多数のバイク乗りにとって、非常に現実的な選択肢です。
ロッソ3とロッソ4の大きな違いは、リアタイヤのコンパウンド構造にあります。ロッソ3がデュアルコンパウンド(2種類)だったのに対し、ロッソ4は最大でトリコンパウンド(3種類)を採用しています。センター部に耐久性重視の硬めのコンパウンド、少し外側に中間コンパウンド、バンク角が深くなるエッジ部分には「スーパーコルサSC3相当」の超ハイグリップコンパウンドを配置しています。これはちょうど、グラデーションのように性格の違うゴムが並んでいるイメージです。
注意が必要なのはサイズによって仕様が変わる点です。ロッソ4のリアタイヤは「190/50 ZR17以下はデュアルコンパウンド」「190/55 ZR17以上はトリコンパウンド(5ゾーン)」と異なる構造が使われています。自分のバイクのサイズがどちらに当たるかは、購入前に確認しておくことをおすすめします。
参考:ロッソ4の公式仕様と各サイズのコンパウンド構成について
PIRELLI公式 DIABLO ROSSO IV 製品ページ
「ハイグリップタイヤはすぐ終わる」という声もありますが、ロッソ4はその常識を少し崩してくれます。
一般的なツーリング・街乗りメインの使い方であれば、ロッソ4のリアタイヤは10,000〜15,000km前後が目安です。走り方やバイクのパワーによって大きく変わりますが、ストリートボブ(ハーレー)のようなトルクの強いクルーザーに装着した「ロッソⅣコルサ」では約2,300kmでスリップサインが出たというユーザー報告もあります。一方でハイパワー4気筒のスポーツバイクでツーリング中心なら、15,000kmを超えるケースも現実的に存在します。
距離が同じでも、走り方の違いでタイヤの消耗スピードは3〜5倍変わることもあります。これは東京から大阪(約500km)を1回走るのと、峠を1日中走るのでは消耗量がまるで違う感覚に近いです。
タイヤの交換サインは「スリップサイン」だけではありません。以下のポイントも定期的に確認しましょう。
スリップサインが出てからの走行は整備不良です。
特に走行距離が少なくても、購入からかなりの年月が経過しているタイヤはゴムが硬化しています。「あまり乗っていないから大丈夫」という思い込みはかえって危険です。ピレリ自身も、外観に異常がなくてもパフォーマンスは経年で低下すると注意喚起しています。
参考:ピレリが公式に解説するタイヤのパフォーマンス低下と交換時期の考え方
「新品タイヤは100km慣らせば大丈夫」という話はバイク乗りの間で広く信じられています。しかし、この認識には重要な前提が抜けています。
慣らし走行の目的は2つあります。1つは「製造工程で使われた離型剤(剥離剤)の除去」で、もう1つは「タイヤを走行温度まで十分に温めてゴムを本来の柔軟性に戻すこと」です。ピレリ自身も後者の方がはるかに重要と述べています。100km走っても、その100kmを「常に適切な温度域で走れていたか」が問題なのです。
つまり100kmが目安なのは事実ですが、それ以上に大切なのは「タイヤを確実に温めながら走ること」です。
新品タイヤ慣らし走行の基本的な手順は次の通りです。
ロッソ4のような剛性高めのタイヤは、慣らしが終わるまでは「少し硬いかな?」という印象を受けることがあります。これは問題ではなく仕様で、慣らしが完了すると「コシ」として感じられるようになります。焦らず走ることが大切です。
また、空気圧の調整は必ず慣らしが終わった後に行いましょう。ロッソ4で「グリップが掴みにくい」「乗り心地が硬い」と感じる場合は、空気圧が若干高すぎる可能性があります。車両メーカー指定値(例:フロント2.5kgf/㎠、リア2.9kgf/㎠)を基準に、慣らし完了後に少しずつ調整してみる価値があります。
参考:タイヤの皮むきと慣らし走行の正しい考え方について
日本ミシュランタイヤ公式:新品タイヤの慣らし走行ガイド
ロッソシリーズの中でどれを選ぶかは、結局「自分がどんな走り方をするか」で決まります。
ツーリングと街乗りがメインの場合は、ロッソ4(DIABLO ROSSO IV)が最もバランスが取れています。高いシリカ含有量によってウェットグリップも確保されており、雨の日の突然の降り込みでも安心感があります。冬場の走り出しでも温度依存が低く、「冷えているうちから安定したグリップ感がある」という評価は複数のユーザーから挙がっています。温度依存が低いのは強みです。
峠やワインディングを攻めたい場合でも、ロッソ4は十分な実力を持っています。ハンドリングのクイックさはスポーツタイヤ中でもピレリらしさが出ており、バンク角が深くなるほどエッジ部分のハイグリップコンパウンドが機能してくれます。膝すりレベルの走りも対応範囲内です。
サーキット走行も定期的にする場合は、ロッソ4コルサ(DIABLO ROSSO IV CORSA)が候補になります。ただしウェットグリップはロッソ4より劣るため、街乗りでも雨が多い地域に住んでいる方は注意が必要です。コルサはあくまでも「晴れ走行のサーキット利用が主体で、街乗りもできる」という立ち位置です。
サーキット専用ならスーパーコルサが原則です。
250cc以下の小排気量バイクの場合は、ロッソスポーツ(DIABLO ROSSO SPORT)が設計上マッチしています。ロッソ3・4は主に600cc〜大排気量向けに設計されており、小さいバイクに装着しても性能をフルに発揮しにくい場合があります。ピレリ公式サイトでも対応車種を確認することをおすすめします。
| 走り方・用途 | おすすめモデル | 理由 |
|---|---|---|
| ツーリング・街乗り中心 | ロッソ4 | 耐久性・ウェットグリップ・温度依存の低さがバランス良く揃っている |
| 峠・ワインディング重視 | ロッソ4またはロッソコルサ | エッジのハイグリップコンパウンドが機能、軽快なハンドリング |
| サーキット兼用 | ロッソコルサ | レーシングタイヤに迫るグリップ力、ストリートでも使用可 |
| 250cc以下の小排気量車 | ロッソスポーツ | 小排気量に最適化された設計、10,000〜12,000km程度の耐久性 |
参考:各モデルの詳細な性格・インプレッションについて
モトフリーク:ピレリ ディアブロロッソ4(クアトロ)徹底インプレッション
タイヤの性能や種類を調べても、「実際いくらかかるのか」をしっかり把握しないまま交換に踏み切ると、想定外の出費になることがあります。費用の全体像を把握しておくことが大切です。
ロッソ4(前後セット)の場合、タイヤ代の目安は以下の通りです(2024〜2025年時点の参考価格)。
工賃別でかかる点も忘れずに。
つまり、ロッソ4に前後セット交換する場合、総額で65,000〜90,000円程度を見込む必要があります。実際に前後コルサをスポーツバイクに装着した実例では、工賃・処分料込みで約9万円という報告もあります。
費用を少しでも抑えたい場合は、以下の方法が現実的です。
また、「フロントはまだ溝があるからリアだけ替えよう」という選択をするライダーも多いですが、前後のグリップバランスが大きく崩れると、ハンドリングが不安定になるリスクがあります。費用面でやむを得ない場合を除き、前後同時交換が理想です。これは少し頭に入れておきたいポイントです。
なお、ロッソタイヤに限らず、タイヤ交換後のバランス調整(ホイールバランス)はセットで依頼することをおすすめします。バランスが取れていないと高速道路走行時にハンドルの振れが出やすくなります。
参考:バイクタイヤ交換の工賃相場と店舗別費用について
バイクタイヤ交換工賃徹底解説ガイド

PIRELLI(ピレリ)バイクタイヤ DIABLOロッソ4 フロント 120/70ZR17M/C (58W) チューブレスタイプ(TL) 3978600