

アドベンチャーバイクは「オフロードを走れる」と思っている人ほど、Tesi H2 TERAを買うと公道でタイヤが400kmで使い切れる出費に直結します。
ビモータ「Tesi H2 TERA(テージ・エイチツー・テラ)」は、2025年10月29日にカワサキモータースジャパンが国内導入に向けた準備着手を正式に発表したモデルです。2026年2月現在、日本国内での正式な販売価格と発売日はいまだ未定とされています。
参考情報として、イギリスでの販売価格は3万5,000ポンド(約708万円)となっています。これは海外での価格であるため、日本仕様には輸送費・各種手続き費・税金などが上乗せされるのが通例です。
前モデルである「TESI H2」の国内価格は866万8,000円(税込)でした。これをひとつの目安にすると、Tesi H2 TERAは装備やスペックの充実ぶりから、1,000万円前後になるとの見方が業界内に広がっています。つまり1,000万円に迫る可能性があるということですね。
日本での発売にあたっては、カワサキモータースジャパンが正規輸入元として対応し、全国のbimota正規取扱店での販売が予定されています。こうした超高額なビモータモデルは、正規店での取り扱いのみとなっています。早期情報を掴みたい場合は、カワサキの公式サイトやbimota正規取扱店への問い合わせが最善の手段です。
カワサキモータースジャパン公式:bimota Tesi H2 TERA 国内販売予定のご案内(価格・発売時期の最新情報はこちらで確認できます)
なお、2026年2月現在も日本国内での正式価格・発売日は発表待ちの状態が続いています。カワサキ公式ページが最速の情報源になるため、定期チェックが条件です。
Tesi H2 TERAのスペックは、「見た目はアドベンチャー、中身はスーパーチャージドスポーツ」という一言で表せます。エンジンは998ccのカワサキ製スーパーチャージド直列4気筒で、最高出力は147.1kW(200PS)を11,000rpmで発揮、最大トルクは137N・mを8,500rpmで発生します。スーパーチャージャーというのは過給器とも呼ばれ、エンジンに強制的に空気を送り込んで出力を引き上げる装置です。自然吸気エンジンとは次元の異なる加速感を生み出します。
以下の表で主要スペックをまとめました。
| 項目 | 数値・仕様 |
|---|---|
| エンジン | 水冷4スト DOHC 4バルブ 直列4気筒 998cc+スーパーチャージャー |
| 最高出力 | 147.1kW(200PS)/11,000rpm |
| 最大トルク | 137N・m(13.9kgm)/8,500rpm |
| 変速機 | 6速リターン(クイックシフター標準) |
| ホイールベース | 1,445mm |
| 全長 | 2,125mm |
| シート高 | 820±30mm(調整可能) |
| 乾燥重量 | 214kg |
| 燃料タンク容量 | 22L |
| フロントブレーキ | 330mmディスク×2 ブレンボStylemaキャリパー |
| サスペンション | 前後 オーリンズ TTX36(標準) |
シート高は820mmで「±30mmの調整幅あり」というのも実用性を意識した点です。800mmをきると足つきが格段に楽になります。身長170cm台のライダーでも調整次第で扱いやすくなるでしょう。
燃料タンクは22Lという大容量です。計算上の航続距離は約320〜350kmほど(燃費をリッター15km前後と想定した場合)になり、ロングツーリングでも給油頻度を抑えられます。これは実用的ですね。
前後サスペンションには標準でオーリンズ製TTX36が装備されています。世界的に評価の高いスウェーデン製のトップグレードショックが標準で付くというのは、800〜1,000万円クラスのバイクとして納得感があります。さらにオプションとしてマルゾッキ製の電子制御セミアクティブサスペンションも用意されており、ストローク量を標準の114mmから145mmに拡大可能です。
Webike NEWS:ビモータ「Tesi H2 TERA」の国内導入が決定! ハブセンターステアリング採用(主要諸元の詳細が確認できます)
Tesi H2 TERAを語るうえで、最も外せない特徴がハブセンターステアリングです。これは「操舵(ハンドル操作)と衝撃吸収(サスペンション)を完全に分離した構造」のことを指します。
普通のバイクはテレスコピック式フロントフォーク(いわゆるフロントフォーク)が、操舵とサスペンションの両方を兼ねる構造です。それに対してハブセンターステアリングは、前輪をリア側と同様のスイングアームで支え、操舵軸はホイール中心(ハブ)に内蔵されています。構造が複雑です。
この構造がもたらすメリットは大きく3つあります。
- ノーズダイブしない:急ブレーキをかけても前下がりになりにくく、コーナリング姿勢が安定する
- キャスター角とトレール量が変化しない:サスペンションが動いてもステアリング特性が変わらず、予測しやすいハンドリングを実現
- ロール軸が低い:車体が素早く傾き、鋭いセルフステアと高い安定感を両立できる
特に「ノーズダイブなし」は公道ライダーにとって嬉しい恩恵です。曲がり角の手前でブレーキを強くかけても車体姿勢が乱れず、ライダーは安心してブレーキを使えます。結果として短い制動距離と安定したコーナリングを得られるわけです。これが条件です。
ただし、デメリットも正直に把握すべきです。タイヤ交換の難易度が高く、整備には専門知識が必要です。構造上の複雑さからくる製造コストの高さも、価格が高騰する一因となっています。汎用性が低いため、現実的にハブセンターステアリングを量産・市販しているのは「ほぼビモータだけ」というのが現状です。意外ですね。
Tesi H2 TERAでは従来の複雑なリンクを廃止し、パンタグラフ状のシンプルなステーでハンドルと前輪ハブを繋ぐ新構造「TERAシステム」を採用しました。先代のTESI H2よりステアリング切れ角も改善されており(片側35°)、街中での取り回しも考慮されています。
バイクのニュース:「フロントもスイングアーム」ってどういうこと!? ビモータ「TESI H2 TERA」のハブセンターステアリングを詳細解説(機構の仕組みと普及しない理由まで丁寧に解説されています)
Tesi H2 TERAは価格相応の豪華な装備を全部入りで標準搭載しています。カワサキとビモータが共同開発した電子制御システムが充実しており、公道ライダーを強力にサポートしてくれます。
電子制御面では以下の装備が標準搭載されます。
- KCMF(カワサキコーナリングマネージメントファンクション):エンジン・シャーシの電子制御を統括し、スムーズなコーナリングを実現
- KTRC(カワサキトラクションコントロール):3モード切替対応
- クルーズコントロール:長距離ツーリングで疲労を大幅に軽減
- KQS(カワサキクイックシフター):クラッチ操作なしの上下対応変速
- KIBS(カワサキインテリジェントアンチロックブレーキシステム):ABS機能付き
- フルカラーTFTスクリーン:視認性の高い大型ディスプレイ
クルーズコントロールが標準という点は、アドベンチャー系ツアラーとしての実用性を重視した証拠です。高速道路を含む長距離ツーリングでは、右手首の疲労軽減が大きなメリットになります。
エキゾーストシステムには、アクラポビッチ製チタンスリップオンマフラーが標準装着されるのも特筆すべき点です。このマフラーにはレーザーエッチングされたロゴ、カーボンエンドキャップ、カーボンヒートシールドが備わります。単品価格にして数十万円するパーツが最初から付いてくるということですね。
外装パーツは全面カーボン製で、イタリア国旗(赤・白・緑)のカラーリングが施されたカーボン生地の露出部分との組み合わせが美しいデザインとなっています。市販仕様ではカーボン製ウイングレットも追加されており、見た目の迫力が増しています。OZレーシング製の鍛造アルミホイールも唯一の専用品で、高い質感を保っています。
英国のMotorcycle News(MCN)の試乗インプレッションによると、年間メンテナンスコストは約180ポンド(約2万3,000円)とされています。スーパーチャージドエンジンのメンテナンスがカワサキディーラーで対応可能なため、高額な専門店コストを抑えられるのは意外なメリットです。
Motorcycle News(MCN):2025 Bimota Tesi H2 Tera Review(英語・海外試乗インプレ。年間維持費180ポンドや装備の詳細が確認できます)
ここまでのスペック・装備を見ると「高性能なスポーツバイク」という印象が強いかもしれませんが、Tesi H2 TERAは「ビモータが初めて作ったパフォーマンス・クロスオーバー(アドベンチャー)モデル」という点で、ブランドの歴史において特別な意味を持ちます。
ビモータはもともと、レーシングマシンのテクノロジーを公道に応用した超高性能スポーツバイクを手がけてきたメーカーです。ドゥカティエンジンを搭載した「Tesi 1D」から始まったハブセンターステアリングの系譜は、常にサーキットや高速域での性能追求を主眼に置いてきました。TERAはその路線から一歩踏み出し、「日常道路でも楽しめる万能モデル」を目指した初の試みです。
ビモータの歴史を振り返ると、長年の財政難を経て2019年にカワサキが49.9%の株式を取得。その資本参加以降に登場した新世代ビモータは、カワサキのエンジン・電子制御・サポート体制という強力な基盤を持つようになりました。Tesi H2 TERAはまさにその集大成のひとつです。
MCNの試乗テストでは「H2 SXエンジンをここまで活かしたモデルはほかにない」と評され、総合評価は5つ星を獲得しています。エンジン・信頼性・乗り味のすべてで最高評価でした。これは使えそうです。
日常的なツーリングからワインディングの走行まで、200PSのスーパーチャージドパワーをアドベンチャースタイルのポジションで楽しめるというのは、ジャンルを問わず「バイクで一番楽しみたい」というライダーへの答えといえます。ただし実際の試乗レビューでは、標準装着タイヤ(アンラス・スコルパ)は400マイル(約640km)でタイヤの残り山が目に見えて減っていたという報告もあります。タイヤ費用の出費は現実的な問題として把握しておくほうが無難です。
ビモータとしては初のアドベンチャーモデルながら、実際のオフロード走破性はそれほど高くないという点も正直なところです。最低地上高174mm、タイヤも17インチ規格であり、本格的なダートには向きません。「アドベンチャースタイルの全天候型スポーツツアラー」という理解が正確です。つまり公道専用の超高性能ツアラーです。
ベストカーWEB:クロスオーバーモデル「TERA」! H2の心臓を持つビモータの新境地(ビモータのブランド背景とTERAのコンセプトを詳しく解説しています)