

サーキット走行では溝なしタイヤは違法じゃないんです。
レーシングタイヤ(サーキット専用)は、バイクレースやサーキット走行で最速タイムを出すために開発された特殊なタイヤです。一般タイヤとの最大の違いは、路面との摩擦によってタイヤ表面の「コンパウンド」を溶かしながらグリップ力を得る設計になっている点です。
参考)https://www.bridgestone.co.jp/products/tire/mc/products/result/?cat_type=1amp;cat_id=Circuit
これにより、一般タイヤでは実現できない高い接地面積とグリップ力を発揮します。
ブリヂストンは、カワサキH2/H2R製作時に「最高時速350kmに耐えるタイヤ」を開発するよう依頼されました。速度が上がるとタイヤへの負担は二次曲線的に増加するため、300km/hと310km/hでもタイヤへの負担は全く違います。つまり超高速域でのサーキット走行には専用設計が必須ということです。
参考)H2R(ZX1000P/Y) -since 2015- - …
レーシングタイヤのサイドウォール(側面)には「For competition(競技用)」と刻印されています。これは道路運送車両法の保安基準で定められた表示です。サーキット専用という位置づけが法的にも明確になっているんですね。
レーシングタイヤは路面状況に応じて3つの種類に分けられます。
参考)https://uppit.upgarage.com/column/racing-tires/
🔹スリックタイヤ(ドライ用)
参考)ロードレース
参考)https://www.bridgestone.co.jp/products/tire/mc/battlaxquality/vol2.html
🔹インターミディエイトタイヤ
🔹レインタイヤ(ウェット用)
路面状況に応じた適切な選択が安全走行の基本です。
ダンロップは「KR337 PRO」というミニバイクレース専用タイヤで高速安定性と高速耐久性を実現しています。フルスケールのサーキットだけでなくミニバイクレースにも専用設計のレーシングタイヤが存在するということですね。
レーシングタイヤと一般タイヤの違いは構造と使用目的にあります。
一般タイヤはタイヤに溝があり、大きさも標準的です。一方レーシングタイヤ(スリック)は溝がなく表面がつるつるしており、サイズも一般タイヤと比較して大きい傾向があります。溝がないということは公道を走行できないということです。
道路運送車両法では公道を走行する車のタイヤ溝は1.6mm以上の深さが必要と明記されています。
コンパウンドの設計思想も全く異なります。レーシングタイヤは路面との摩擦でコンパウンドを溶かしながら走行するため、溝のないタイヤでもスリップしません。一般タイヤは溝による排水性能と長寿命を重視した設計です。
寿命の違いも顕著です。一般的なツーリングタイヤの寿命は10,000~20,000km程度。対してレーシングタイヤはサーキット走行での高負荷使用を前提としているため寿命は大幅に短くなります。サーキット走行1回でタイヤの性能が変化することも珍しくありません。
ミシュランのPOWER RSは公道とサーキットの想定走行比率を85%対15%に設定したハイブリッドタイヤです。公道が主体でありながらサーキット性能も高水準という特殊な位置づけですね。
参考)公道でもサーキットでもその走りは最高水準 特集記事&最新情報…
スリックタイヤで公道を走行した場合、整備不良違反とみなされる可能性があります。整備不良違反となった場合、違反点数2点に加え、二輪車は7000円、原付には6000円の反則金が科せられます。
ただし実際のところ、警視庁に確認した情報によると「公道不可タイヤを履いて走行していても取り締まりや整備不良には該当しない」という見解もあります。サーキットやオフロードコースに向かう時に競技用タイヤを履いて自走で向かったとしても違反ではないということです。
つまり法律上は違反ではないということですね。
とはいえ、溝が1.6mm以下のタイヤは道路運送車両法の保安基準に適合しません。特にウェット路面では排水性能がないため重大な事故につながるリスクがあります。また保険適用の観点からも、事故時に「整備不良」と判断され保険金が支払われない可能性があります。
法的な罰則の有無にかかわらず、安全性と保険リスクを考慮すればスリックタイヤでの公道走行は避けるべきです。
セミレーシングタイヤには溝が彫られており、道路運送車両法の基準である1.6mm以上の深さがあるので公道使用可能です。ただし溝が通常のタイヤと比べ浅いため長距離走行にはあまりおすすめできません。
レーシングタイヤを使用するサーキット走行の最大のメリットは圧倒的なグリップ力です。最新のポリマーと樹脂で補強されたフルカーボンブラックのコンパウンドが採用されており、ワンランク上のグリップ性能と最速のラップタイムをもたらします。
限界時の過渡特性がレーシングタイヤの特徴です。ミシュランのPOWER RSはサーキットでレーシングタイヤを思わせる走りっぷりを見せ、限界時の過渡特性はレーシングタイヤを思わせるほど優秀でコントロールしやすいと評価されています。
高速域での安定性も重要な要素です。
カワサキNinja H2は過給エンジンで300km/h以上の速度を出すため、適度なしなりのあるパイプフレームを採用し、挙動が出ても気にせずに行ける車体設計になっています。H2Rは最高出力310馬力、350km/hを超える最高速度を誇り、それを支えるのがブリヂストンの専用レーシングタイヤです。
技術向上の観点でも有効です。レーシングタイヤは限界性能が高いため、ライダーのスキルアップに直結します。正しいライン取りやブレーキング、コーナリング技術を磨く最適な環境を提供してくれます。
ダンロップのKR337 PROはフルスケールのサーキットでの高速安定性と高速耐久性を実現しています。サーキット走行に特化した設計により、継続的なハイパフォーマンス走行が可能になっているんです。
タイヤサイズは車種ごとに指定されており、適合しないサイズを装着すると走行性能や安全性に問題が生じます。
一般的なバイクタイヤのサイズ表記は「幅/扁平率-リム径」の形式です。例えば「180/55-17」は幅180mm、扁平率55%、リム径17インチを意味します。レーシングタイヤでも同様の規格が採用されています。
参考)バイクタイヤ交換 価格一覧 / MOTO PALACE 鈴鹿
車種別の参考価格を見ると、サイズによって価格帯が大きく異なります。
💰一般的な価格帯(リアタイヤ)
サイズが大きくなるほど価格も上昇します。
ブリヂストンはカワサキH2/H2R専用にバトラックスRS10を開発しました。350km/h超の最高速度に対応できる耐久性と高速安定性を実現するため、車種専用の設計が行われたのです。
メーカーの適合表を必ず確認してください。サーキット走行会では不適合タイヤでの参加を拒否されるケースもあります。
参考)サーキットで良くあるタイヤトラブルとは?|パターンを知り安全…
コンパウンドの硬さはタイヤのグリップ力と寿命を左右する重要な要素です。
メッツラーのMCE 6 Days Extremeタイヤは3つのバージョン(ハード、ソフト、スーパーソフト)があり、地形に応じて選択できます。中程度から硬い地面の走行を前提に設計されたものは、CKB(Continuous Knob Binding:連続ノブビンディング)デザインが摩耗を減らし汎用性を高めています。
🔸ソフトコンパウンド
🔸ミディアムコンパウンド
🔸ハードコンパウンド
気温や路面温度も考慮が必要です。
メッツラーのRacetec™ RRはロードレーシングバイクのために開発され、どんなコンディションでも最大限のパフォーマンスを発揮します。最新のポリマーと樹脂で補強されたフルカーボンブラックのコンパウンドが採用されているんですね。
初心者はまずミディアムコンパウンドから始めることをおすすめします。グリップと扱いやすさのバランスが取れており、タイヤの特性を理解する上で最適です。
日本の主要タイヤメーカーはそれぞれ独自の技術と製品ラインナップを持っています。
🏢ブリヂストン
🏢ダンロップ
🏢ミシュラン
参考)バイクツーリングタイヤは寿命のみで選ぶべき4つの理由とおすす…
🏢メッツラー
🏢ピレリ
各メーカーで性能特性が異なります。
ミシュランのPOWER RSはスペインのカルタヘナサーキットでの評価により、サーキット性能が同じカテゴリーのどのライバルタイヤをも凌ぐ高水準ぶりと評価されました。メーカー選びは走行スタイルや求める性能によって変わってくるということですね。
レーシングタイヤのコストは一般タイヤよりも高額で、交換頻度も高くなります。
タイヤ本体の価格は排気量とサイズで大きく変わります。
💴排気量別タイヤ価格の目安
工賃も別途必要です。オートバイ用品店でのタイヤ交換工賃の相場は平均5,000円ほど。前後セットで交換すると、タイヤ代と工賃を合わせて数万円から10万円以上かかることもあります。
交換頻度はタイヤの種類と使用状況で変わります。
参考)タイヤの寿命・いつ替えるか – 筑波●秒台
レーシングタイヤはサーキット走行1回で性能が変化します。
メッツラーのRacetec™ SMはシリカ100%配合のコンパウンドで、パフォーマンスと耐久性に最高のバランスを実現しています。とはいえ一般タイヤと比較すれば寿命は短いため、年間のランニングコストは相当な金額になります。
サーキット走行を継続する場合、年間10万円以上のタイヤ費用を見込んでおく必要があります。
サーキット走行でよくあるタイヤトラブルは、空気圧の未調整とタイヤの温め忘れです。
❌よくある失敗パターン
空気圧は必ず「冷間」で測定してください。ホンダは「絶対に温間で測らないこと」と念押しの注意書きがあったほどです。タイヤの温度が上がると内部の空気が膨張して内圧も上がるため、サーキット走行では走行前に空気圧を下げておくのがセオリーです。
タイヤの完成形を知ることがトラブル防止につながります。
プロライダーは「タイヤを温める技術」もハイレベルです。ピレリジャパンのオフィシャルライダーによると、適切なウォームアップ走行で徐々にタイヤ温度を上げることが重要とされています。
初心者は走行前のチェックリストを作成し、空気圧調整とウォームアップを確実に実行する習慣をつけましょう。
これだけで多くのトラブルを回避できます。
タイヤ温度管理はサーキット走行の安全性とパフォーマンスに直結します。
タイヤウォーマーは最も効果的な加温方法です。車載でサーキットに向かう場合、タイヤウォーマーを使用すれば走行前にタイヤを適温まで温められます。温めたタイヤの温度を維持する方法も重要です。
自走でサーキットに向かう場合はウォームアップ走行が必須です。
🌡️効果的なウォームアップ手順
プロライダーは「タイヤを温める技術」もハイレベルな人が多いです。ピレリジャパンのオフィシャルライダーによると、適切な温度管理が限界走行を可能にするとされています。
タイヤ温度と内圧は密接な関係にあります。
タイヤの温度が上がると内部の空気が膨張して内圧も上がります。サーキット走行ではそれを見越して走行前に空気圧を下げておくのがセオリーです。「タイヤを温める」と「内圧を管理する」は同時に考えるべき要素ということですね。
空気圧調整はサーキット走行で最も重要な準備項目です。
空気圧は必ず「冷間」で測定してください。ホンダは「絶対に温間で測らないこと」と念押しの注意書きがあったほどです。走行後のタイヤは高温になり内圧が上がっているため、正確な測定ができません。
⚙️空気圧調整の基本ステップ
サーキットでよくあるトラブルは空気圧の未調整です。レースになると所帯が大きくなりライダーも様々な雑務をこなす必要があり、空気圧を前だけ調整して後輪を調整しようと思ったらブリーフィングを忘れていた、なんてことが起きます。
そのまま後輪タイヤは誰も調整することなくレースを迎えるという危険な状態になるわけです。
タイヤ温度上昇による内圧変化を見越した調整が重要です。走行中にタイヤが適温になった時に適正内圧になるよう、冷間時は低めに設定するのがコツですね。
レーシングタイヤは一般タイヤよりデリケートで、適切な保管とメンテナンスが性能維持に不可欠です。
📦保管の基本ルール
コンパウンドは経年劣化します。タイヤには製造番号が刻印されており、2000年以降の製造番号では下4桁(例1217)の数字で製造年週を示しています。最初の数字12は週(12週目)を、最後の数字17は年(2017年)を示します。
製造から2~3年以内の使用が推奨されます。
タイヤウォーマーを使用する場合、温めたタイヤの温度を維持する方法も重要です。走行直前まで保温カバーを使用するなど、温度低下を防ぐ工夫が必要ですね。
使用後のチェックも欠かせません。タイヤ表面の異常摩耗、ひび割れ、異物の刺さりがないか確認してください。異常が見つかった場合は次回使用前に対処が必要です。
メッツラーのRacetec™ SMはシリカ100%配合のコンパウンドでパフォーマンスと耐久性のバランスを実現していますが、それでも適切な保管とメンテナンスなしには性能を維持できません。
サーキット走行にはタイヤ以外にも多くの注意点があります。
タイヤトラブルを防ぐ最善の方法は「サーキットタイヤの完成形を知ること」です。適正な空気圧、適正な温度、適正な摩耗状態を理解していれば、走行前のチェックで異常に気づけます。
⚠️サーキット走行時の重要な注意点
スリックタイヤでウェット路面を走行すると重大事故につながります。レインタイヤは排水するための溝があることで、スリップする可能性を低くしながら速いタイムで走行できます。
限界走行時の挙動にも注意が必要です。
カワサキNinja H2の開発では、過給エンジンで猛烈に速度の出る車両において、挙動が出ても気にせずに行ける車体設計が重要と考えられました。300km/h以上出すバイクでは、そうした配慮がないと作れないのです。
初心者は自分の技量を過信せず、段階的にペースを上げることが大切です。タイヤの限界性能を引き出すには相応のスキルと経験が必要ですね。
公道とサーキットの両方を楽しむライダーには、タイヤの使い分けが重要になります。
ミシュランのPOWER RSは公道とサーキットの想定走行比率を85%対15%に設定したハイブリッドタイヤです。あくまでも公道が主体でありながら、サーキット性能も高水準という特殊な位置づけですね。スペインのカルタヘナサーキットでの評価では、限界時の過渡特性がレーシングタイヤを思わせるほど優秀でコントロールしやすかったとされています。
🔄使い分けの実践パターン
セミレーシングタイヤは溝が彫られており道路運送車両法の基準である1.6mm以上の深さがあるので公道使用可能です。ただし溝が通常のタイヤと比べ浅いため長距離走行にはあまりおすすめできません。
コスト面も考慮が必要です。
レーシングタイヤは高額で寿命も短いため、公道走行が多い場合はコストパフォーマンスが悪化します。公道85%/サーキット15%程度の使用比率なら、ハイグリップスポーツタイヤの方が経済的ですね。
タイヤ交換のタイミングも計画的に。サーキット走行会の直前に新品タイヤに交換し、その後の公道走行で慣らしを兼ねるという方法もあります。ただしレーシングタイヤは公道走行不可なので、この方法が使えるのは公道走行可能なスポーツタイヤに限られます。
ブリヂストン公式サイト - サーキット用二輪車タイヤ一覧
各メーカーの製品ラインナップと詳細スペックが確認できます。タイヤ選びの参考情報として活用してください。
BikeJIN - サーキットで上手にタイヤを温める方法
ピレリジャパンのオフィシャルライダーによる実践的なタイヤ温め技術の解説です。ウォームアップ走行の具体的な手順が学べます。