

社外マフラーに交換したあなた、証明書がないと車検でそのまま帰宅になります。
TRX850のカスタムで最も人気が高いのが、マフラー交換です。ヨシムラ TitanCyclone、野島エンジニアリング FASARM、LCIパーツ チタンマフラー、DELKEVIC Tri-OVAL 420mmなど、TRX850向けの社外マフラーはバリエーションが豊富に存在しています。サウンドが変わるのはもちろんのこと、純正比で排気効率が上がることで中〜高回転域のレスポンスも向上します。
ただし、ここで多くのオーナーが見落としがちな落とし穴があります。社外マフラーを装着したまま車検に持ち込む場合、音量の基準クリアだけでは足りません。「ガスレポ(自動車排出ガス試験結果証明書)」や JMCAプレート、Eマーク、自マークといった認証表示が必須になります。これがないと、音量が基準内であっても車検を通過できないケースがあります。
近接排気騒音の基準は、TRX850のような2001年以前に製造されたモデルでも実質的に94dB以下が目安となっています。測定はマフラー出口から50cm・排気方向に対して斜め45度の位置で行われます。野島エンジニアリング FASARMのユーザーレポートでは「近接騒音が98〜99dBになった」という記録もあり、バッフルなしの状態では基準をオーバーする可能性があります。
つまり合法カスタムが条件です。
| マフラー名 | 素材 | 特徴 |
|---|---|---|
| ヨシムラ TitanCyclone | チタン | 定番ブランドの信頼性 |
| 野島エンジニアリング FASARM | ステンレス+カーボン | 乾いたツインサウンド |
| LCIパーツ チタンマフラー | チタン | 軽量・高耐食 |
| DELKEVIC Tri-OVAL 420mm | ステンレス | バッフル付き・静音対応 |
JMCA認定マフラーを選べば、認証に関する心配はほぼなくなります。購入前に「JMCAプレートが付属しているか」「ガスレポの提供があるか」をショップに確認しておくだけで、車検当日のトラブルを防げます。これは必須です。
音量を抑えたい場合は、DELKEVIC Tri-OVALのようにバッフル付きのモデルを選ぶ選択肢も有効です。ただし2010年4月以降に製造されたバイクでは脱着式バッフルが禁止されているため、溶接またはリベット固定が前提になります。TRX850(1995〜1999年製造)はこの規制の直接の対象外ですが、車検場によっては運用が厳しくなる場合もあるため、固定方法も確認しておくと安心です。
マフラー交換前に音量を確認したい場合は、騒音計アプリ(スマートフォン向け)でざっくりとした傾向をつかむことができます。精度は限られますが、基準値から大きく外れていないかの目安に使えます。
JMCA 全国二輪車用品連合会|近接排気騒音相対値規制についての解説(マフラー選びの基準確認に)
TRX850は純正でセパレートハンドル(セパハン)を採用しています。スポーツライディングでは前傾姿勢が決まり、ワインディングでのコーナリングに有利な設計です。しかし長距離ツーリングでは手首・腰・肩への負担が積み重なり、「年のせいか手首と腰にくる」という声はオーナーコミュニティでも多く見られます。
最も手軽な改善策は、ホームセンターで購入できる長さ20mmのステンレススペーサーと六角ボルトを使ったハンドルアップです。費用は数百円で済み、ワイヤー類の調整も基本的に不要です。ハンドルが20mm持ち上がるだけで腕の角度が変わり、長距離での疲れ方が明らかに変わります。これは使えそうです。
より本格的にポジションを変えたい場合はバーハンドル化になります。TRX850の場合、フロントフォークはφ41mmのため、41φ対応のハンドルクランプ(アントライオン製など)を使うことで汎用バーハンドルを装着できます。ただし注意点があります。アッパーカウルとバーハンドルが干渉するため、カウルを約4cm上方に移設するための取り付けステーの製作(または購入)が必要になります。
バーハンドルに変更すると姿勢がかなり起き上がり、ツーリングでの疲労軽減効果は大きいです。一方、ワインディングではセパハンの方が操作性に優れるという意見も多く、「ツーリング主体ならバーハン、スポーツ走行メインならセパハン」というのがTRXオーナーの共通認識になっています。
バーハンドル化に伴い、ブレーキホースの長さも変わります。多くのオーナーがアールズ製メッシュホースの延長タイプに交換しており、同時交換でブレーキタッチの向上も期待できます。
ハンドル幅や高さが変更になる場合、構造変更検査が必要になるケースがあります。ウェビックコミュニティの報告では「幅や高さが変わらなければOK」という運用が一般的ですが、大幅な変更時は陸運局への確認をおすすめします。
バイクブロス|TRX850カスタムレポート一覧(ハンドルアップやバーハン化など実例多数)
TRX850は純正でもフロントの減衰調整機能を持つサスペンションを備えており、コストがかかった設計として評価されています。しかし1995〜1999年製造の車体はすでに25年以上経過しており、純正サスの劣化は避けられません。サスが抜けてくると、コーナー進入時の不安定感やブレーキ時のノーズダイブが顕著になります。
定番のアップグレードはリアショックのオーリンズ化です。TRX850専用品のほか、ドカティ用のオーリンズをリンク比計算のうえで流用している事例もコミュニティ内で報告されています。リアをオーリンズに換装することで、コーナーでの粘り感が増し、ライダーの心理的な安心感も大きく変わります。
フロントについては、オーリンズRWU(正立→倒立)への換装事例もあります。ただしこの場合はブレンボキャリパーのマウントにクレバーウルフ製サポートが必要となるなど、周辺パーツとのセット対応が必要です。走り込みを重視するオーナーにはこちらも選択肢になります。
足まわりカスタムの費用感は大まかに以下の通りです。
サスペンション交換を純正流用や中古パーツで検討している場合は、YZF750用スイングアームの加工流用もTRXコミュニティでは実績があります。サスペンションのリンク比や車高変化に伴い、チェーンラインとホイールセンターの確認は必須です。
スプロケットのカスタムも足まわりに関連したプチカスタムとして人気です。フロントスプロケを1丁下げることで低中速トルクが増し、街乗りや峠でのエンジンレスポンスが向上します。費用は3,000〜5,000円程度と非常にリーズナブルで、体感できる変化としてはコストパフォーマンスが高い選択肢です。これは使えそうです。
Heritage & Legends|レッドモーターTRX850のフルカスタム事例(オーリンズ・ブレンボ・YZF750スイングアーム流用の実例)
TRX850最大の個性は、市販車初の270度位相クランクを採用した並列2気筒エンジンです。このエンジンは90度Vツインと同等のトルク特性を持ち、アクセル開度とトルクの出方がリニアに連動する独特のフィーリングを生み出しています。後のMT-07、MT-09、YZF-R1のクロスプレーン・コンセプトへと受け継がれた、ヤマハの設計思想の原点ともいえる存在です。
この270度クランクエンジンの素性を最大限に活かすために有効なのが、点火系のアップグレードです。TRX850オーナーの間で定番となっているのが、ASウオタニ製SPIIフルパワーキットの装着です。純正点火コイルに比べて強力な火花を発生させることで、始動性の向上・アイドリングの安定・中高回転域でのトルクのツキが改善されます。
みんカラのレポートでは「キャブをフルOHしたうえでウオタニコイルを選択した」という事例が紹介されており、FCR換装と組み合わせることでさらに効果が高まります。点火系のみの変更でも空燃比に影響が出るため、装着後はキャブのセッティング見直しが推奨されます。
FCRキャブレターへの換装は、TRX850の定番ハイパフォーマンスカスタムのひとつです。ケーヒンFCR41φのダウンドラフトタイプが定番で、純正キャブと比較してスロットルレスポンスが大幅に向上します。ただし、FCRはセッティングの難易度が高く、シャーシダイナモを使ったプロによるセッティングを経ないと実力を発揮しにくい面もあります。「何度も試乗とセッティング変更を繰り返した」という声が多く、自分でセッティングを楽しみたいライダー向けのカスタムです。
点火系カスタムは外見上の変化がないため地味に思われがちです。ただし、30年以上経過したTRX850の電装系は経年劣化が進んでいる個体も多く、まず点火コイルの抵抗値確認や入力端子の錆取りといった基本的な整備をしてから、アップグレードに進むのが順番として正しいです。
trx850.jp|電装パーツのリフレッシュ(ASウオタニとのやりとりや選び方の経緯が参考になる)
ここまでマフラー・ハンドル・サスペンション・点火系という「走り系カスタム」を見てきました。一方でTRX850のカスタムをさらに個性的に仕上げるために、外装や軽量化の方向性を最初に決めてから各パーツを選ぶアプローチも、満足度の高いカスタムにつながります。
TRX850のスタイリングの特徴は、アッパーカウルとシングルヘッドライトの組み合わせによるコンパクトな前面デザインです。このシルエットを活かしつつ変化をつける方法として、ヘッドライトのHID化やLED化は多くのオーナーが実施しています。純正は「暗い」という声が多く、LED20W化でも実用上は十分明るくなります。光軸の調整は必ずセットで行う必要があります。
Heritage & Legendsで紹介されたレッドモーター製作のTRX850では、FRP製シングルシートカウル(静岡のTHE SIMPLE製)を装着し、リアのボリュームをスッキリさせることでレーシーな印象を強めていました。シングルシートカウルはリアシートを覆う形状ですが、車検証の乗車定員が2名の場合は構造等変更検査が必要になる点に注意が必要です。
外装と合わせて取り組みやすいのがスプロケットとチェーンのカスタムです。ゴールドチェーン+アルマイト処理スプロケットの組み合わせは、走行性能の向上と見た目の引き締めを同時に達成できます。費用は一式で1〜2万円程度と比較的手頃です。
クラッシュプロテクターの追加も軽視できないカスタムのひとつです。ポン付けで取り付け時間5分という手軽さで、立ちごけや低速転倒時にエンジンカバーやフレームへのダメージを大幅に軽減します。長く乗り続けるための投資と考えると、コストパフォーマンスは非常に高いです。
TRX850のカスタムを長く楽しむために重要なのは、パーツが徐々に入手困難になってきているという現実への対応です。1995〜1999年製造のバイクとして、専用社外品の生産終了が進んでいます。「今やパーツ探しもカスタムの一部」という言葉がこのバイクをよく表しています。ヤフオクやマニア向けフリマサイトの定点観測、trx850.jpのオーナーコミュニティへの参加は、希少パーツ入手の近道です。
結論は「計画的なカスタムが原則」です。走り系・外装系・軽量化をひとつの方向性に統一することで、乗るたびに「このバイクにして良かった」と感じられる一台に仕上がります。
trx850.jp|270度クランク パラツインエンジンの解説(TRX850のエンジン特性を知ることでカスタムの方向性が明確になる)

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