

普通二輪免許を取ってから大型二輪を取ると、教習費用が合計で30万円を超えることがある。
「ナナハン」とは、もともとエンジン排気量750cc(=7.5ハーフ→ナナハン)のバイクを指す言葉です。現在では400ccを超えるすべての大型自動二輪車の総称として使われることも多く、免許証には「大自二」と記載されます。
大型自動二輪免許を取得すれば、排気量の上限はありません。つまり、750ccはもちろん、1,000cc超えのリッターバイクや、ハーレーダビッドソン・BMW・ドゥカティといった世界的ブランドの輸入大型車まで、すべて運転できるようになります。それが、この免許の最大の魅力です。
具体的に乗れるようになる代表的なバイクをまとめると以下の通りです。
| メーカー | 車種例 | 排気量 |
|---|---|---|
| ホンダ | CB1000R / Gold Wing / CBR600RR | 600〜1,800cc |
| ヤマハ | YZF-R1 / FJR1300 | 1,000〜1,300cc |
| スズキ | Hayabusa(隼)/ GSX-S1000GT | 1,000〜1,340cc |
| カワサキ | Ninja ZX-10R / Z900RS | 900〜1,000cc |
| ハーレーダビッドソン | Fat Boy / Road Glide | 1,746〜1,868cc |
さらに、大型二輪免許を持っていれば、普通自動二輪車(400cc以下)や原動機付自転車(原付)にも乗れます。つまり、所有できるバイクの選択肢が一気に広がります。これが条件です。
一方、AT限定の大型二輪免許を選ぶと、クラッチ操作が必要なMT車には乗れない点に注意が必要です。なお2019年12月の道路交通法改正により、それまで大型二輪AT限定は排気量上限が650ccに制限されていましたが、現在はその制限が撤廃され、DCT(デュアルクラッチトランスミッション)搭載のリッターバイクも運転できるようになっています。意外ですね。
二輪免許区分改正の歴史(モーサイ)|1965年以前の免許制度から現代までの変遷が詳しく解説されています
大型自動二輪免許を取得するためには、いくつかの条件をクリアする必要があります。まず年齢は、免許交付時点で18歳以上であることが必須です。ただし、卒業検定の時点で18歳を迎えていれば問題ないため、17歳から指定自動車教習所に入校することも多くの教習所で認められています。
身体的な要件も確認が必要です。
| 項目 | 条件 |
|---|---|
| 視力 | 両眼0.7以上・片眼それぞれ0.3以上(眼鏡・コンタクト可) |
| 色彩識別 | 赤・青・黄の三色が識別できること |
| 聴力 | 10m先で90dBの音が聞こえること(補聴器使用可) |
| 運動能力 | 運転に支障をきたす四肢・体幹の障害がないこと |
視力はメガネやコンタクトレンズで矯正した状態でも構いません。不安がある場合は、入校前に教習所へ問い合わせておくのが安全です。
「いきなり大型」は法的に問題なし、が条件です。普通二輪免許を持っていなくても、18歳以上であれば大型二輪免許から挑戦できます。ただし、教習所によっては普通二輪免許の所持を入校条件としている場合があります。東京都の武蔵境自動車教習所のように、普通二輪免許保持者に限定している教習所もあるため、入校前の確認が欠かせません。
いきなり大型に挑戦する場合、教習車であるNC750(約210kg)またはCB750(約235kg)の車体を、足の親指の付け根が地面に届く状態で取り回せるかどうかが実質的なハードルになります。200kgを超える車体の引き起こし・押し歩きは、初めてバイクに触れる人には相当な難関です。厳しいところですね。
大型二輪免許の取得費用は、現在所持している免許の種類によって大きく変わります。この差を事前に知らないと、想定外の出費になりかねません。
| 所持免許の種類 | 技能時限数 | 学科時限数 | 費用の目安(通学) | 取得期間の目安 |
|---|---|---|---|---|
| 免許なし(原付含む) | 31時限 | 26時限 | 約25〜30万円 | 約2〜3カ月 |
| 普通自動車免許のみ | 31時限 | 1時限 | 約16〜25万円 | 約1〜2カ月 |
| 普通二輪免許あり | 12時限 | なし | 約9〜15万円 | 約1カ月(最短6日) |
最も費用を抑えられるのは、普通二輪免許を持っている状態からのステップアップです。技能教習がわずか12時限(普通二輪所持の場合)で済むため、費用も9〜15万円程度に収まります。一方、普通二輪免許を持っていない状態で大型二輪を取ろうとすると、技能31時限・学科26時限が必要で、費用は25〜30万円前後になります。
合宿免許を利用する手もあります。普通二輪免許所持の場合、合宿なら最短6日・費用10万円台前半〜のプランも存在します。閑散期(5〜6月・10〜12月頃)を狙えば、繁忙期より数万円安くなることもあります。これは使えそうです。
一発試験(免許センター直接受験)については、合格した場合の費用だけ見れば約22,750円で済みます。ただし、令和4年の警察庁統計によると大型二輪(MT)の一発試験合格率はわずか15.4%です。1回で合格できる人はごく少数で、多くのライダーは複数回受験することになります。何度も落ちると受験料・試験車使用料が重なり、最終的に教習所より高くつくケースも珍しくありません。
警察庁「運転免許統計令和4年版」|大型二輪免許の取得者数・一発試験合格率などの公式データが掲載されています
費用を安く抑えたいなら「閑散期の入校 × ストレート合格 × オプションの活用」が基本です。
教習所に通って大型自動二輪免許を取得する場合の流れは、大きく3つのステップに分かれます。それぞれの内容を把握しておくと、教習中に戸惑いが少なくなります。
第一段階(技能の基礎)では、バイクそのものの扱いに慣れることが中心です。主な内容は、引き起こし・発進と加速・停止・進路変更・ブレーキ操作などです。教習車のNC750は車重210kgほどで、A4用紙を10枚ほど積んだ重さをイメージしてください、というより、実際には軽自動車1台分の重さに近い感覚です。最初の1〜2時限は重さに慣れるだけで終わる人も多いです。
規定時限が終わると「みきわめ」があり、ここで合格しないと第二段階に進めません。
第二段階(応用技能)では、実際の道路状況に近い技能を学びます。一本橋・波状路・スラローム・クランク・S字・急制動・危険予測などが課題として登場します。特に一本橋(長さ15m)は「長さ15mといえばバス1台分ほど」のイメージで、その上をゆっくり10秒以上かけて通過しなければなりません。焦りから速度が上がってしまうのが典型的な失敗パターンです。
第二段階のみきわめを通過すると、卒業検定に進みます。教習所内のコースで採点され、合格すれば卒業証明書が交付されます。
最後に、卒業証明書を持って運転免許センターへ行き、適性検査(視力など)を受けます。普通自動車免許や普通二輪免許を持っている場合は学科試験も免除されるため、当日中に免許が交付されます。免許センターでかかる費用は受験料1,750円+免許証交付料2,050円の合計3,800円です。
警視庁「二輪免許試験(指定教習所卒業)」|運転免許センターでの手続き費用・必要書類の公式案内ページです
免許を取得した後も、見落としがちな重要ルールが2つあります。知らずに違反すると、反則点数2点と反則金12,000円、さらに10万円以下の罰金が課せられることもあるので注意が必要です。
二輪免許(普通二輪または大型二輪)を取得してから1年が経過していないと、一般道での2人乗りは禁止されています。ただし「普通二輪+大型二輪」の取得期間は通算でカウントされます。たとえば普通二輪免許を取って8カ月後に大型二輪を取った場合、一般道で2人乗りができるのは普通二輪免許の交付日から1年後、つまりさらに4カ月後ということになります。1年だけ覚えておけばOKです。
② 高速道路での2人乗りは「20歳以上 × 免許取得後3年以上」が条件
一般道のタンデム条件より、高速道路はさらに厳しくなります。運転者が「20歳以上」かつ「二輪免許取得後3年以上」の両方を満たす必要があります。年齢だけ、あるいは免許歴だけではNG。この2つが揃って初めて、高速道路でのタンデム走行が解禁されます。
「大型免許を取ったからすぐ彼女と高速ツーリングに行ける」と思っていたライダーが、実は3年待ちだったというケースも少なくありません。痛いですね。
| 2人乗りの種類 | 条件 |
|---|---|
| 一般道でのタンデム | 二輪免許取得から1年以上経過 |
| 高速道路でのタンデム | 20歳以上 かつ 二輪免許取得から3年以上経過 |
また、タンデムは50cc以下の原付では禁止されており、普通二輪または大型二輪免許が必要な排気量のバイクに限って可能です。バイクにタンデムシートとタンデムステップが装備されていることも必須条件に注意すれば大丈夫です。
MotoInfo「バイク二人乗りで高速道路を走る際に知っておくべき点」|2人乗りの条件・法的根拠をJAMAが詳しく解説しています