リーンアウトとリーンインのバイクでの正しい使い分け方

リーンアウトとリーンインのバイクでの正しい使い分け方

リーンアウト・リーンインをバイクで正しく使い分けるコツ

7〜8割のライダーが「自分はリーンウィズで走っている」と思っているのに、実際は無意識にリーンアウトになっていて転倒リスクを高めています。


この記事でわかること
🏍️
リーンアウト・リーンインの違い

上半身の位置がバイクの傾きに対してどこにあるかで名称が変わる。3つのフォームの違いと基本構造を理解しよう。

⚠️
リーンアウトの隠れた危険性

「低速に強い」と思われがちなリーンアウトには、タイヤグリップを失いやすい構造的な問題がある。7割以上のライダーが間違った使い方をしている。

公道での正しい使い分け方

場面ごとにどのフォームが最適かを具体的なシーン別で解説。知っておくと転倒リスクを大幅に下げられる。


リーンアウト・リーンイン・リーンウィズの違いをバイクで正しく理解する

バイクに乗っていると「リーンアウト」「リーンイン」「リーンウィズ」という言葉を耳にする機会は多いはずです。これら3つをまとめて「リーン三態」と呼びます。どれもコーナリング時の上半身の位置関係を表す言葉ですが、意外と混同されやすいので、ここでしっかり整理しておきましょう。


まずリーンウィズは、バイクの傾きとライダーの上半身の傾きが一致している状態です。ちょうど車体と体が1本の斜めの棒になっているようなイメージで、教習所で最初に習うフォームがこれです。重心がバイクのセンターにくるため、タイヤの接地感をつかみやすく、疲れにくいというメリットがあります。


次にリーンアウトは、車体がコーナーに向かって内側へ傾いているのに対し、ライダーの上半身が外側に残っているフォームです。つまり「車体だけが倒れていて体は比較的直立している」状態です。後ろから見ると、体とバイクが逆V字のように見えます。バンク角をつけやすく、視界も広く取れるため、低速旋回やUターン、オフロード走行での定番フォームです。


そしてリーンインは、バイクよりもライダーの上半身がコーナーの内側(イン側)に入り込んでいるフォームです。バイクをあまり傾けなくても体重をイン側に預けることで旋回できるため、バンク角を節約できます。白バイ隊員がジムカーナや競技で使うフォームとして知られており、雨の日など滑りやすい路面での有効性が高いです。


3つのフォームの違いを表にするとこう整理できます。


フォーム名 上半身の位置 バンク角の傾向 主な使用シーン
リーンウィズ 車体と同じ角度 中程度 公道全般・基本走行
リーンアウト 車体より外側(アウト) 深くなりやすい 低速旋回・Uターン・オフロード
リーンイン 車体より内側(イン) 浅くできる 雨天・ジムカーナ・急コーナー


つまり「上半身をどこに置くか」が3つを分けるポイントです。


ここで大切なのは、ニーグリップはどのフォームにも共通しているという点です。どのフォームを選んでも、下半身でしっかりバイクをホールドすることが前提になります。ニーグリップが甘いまま上体だけ動かしても、フォームは崩れてしまいます。これは基本中の基本ですね。


また、リーンウィズといえど「完全に1本線」になるライダーはほとんどいません。コーナリング中には自然とわずかにリーンイン気味になったり、リーンアウト気味になったりするものです。この小さな変化を意識的にコントロールできるようになることが、ライディングスキルの上達につながります。


参考情報:リーン三態の基礎をヤマハが解説しています。


リーンウィズ/リーンアウト/リーンイン|ヤマハ バイク ブログ


リーンアウトのバイクでのメリットと「7割が知らない」危険性

「リーンアウトはUターンに強い」という認識はライダーの間で広く浸透しています。これは事実です。上体が外側に残るため車体だけをバンクさせやすく、低速でもハンドルを大きく切れるため最小旋回半径を小さくできます。また視界が比較的広く保てるので、ブラインドコーナーでも前方確認がしやすいというメリットもあります。


しかし大切なことがあります。


あるライディングスクールの指導者によると、全ライダーの7〜8割が「自分はリーンウィズのつもり」でも実際にはリーンアウトになっているというのです。これは車体が傾くことへの恐怖心から無意識に体が外側へ逃げてしまうためで、自覚なしにリーンアウトになっている人が非常に多い状態です。


問題は、このフォームのリスクが意外と見落とされているという点です。リーンアウトでは、ライダーの荷重方向と車体の傾きの方向が一致しません。わかりやすく言えば、傾いている車体を「上から押しつぶす」ような形になってしまうのです。その結果、タイヤの接地点に十分な荷重がかからず、グリップ力を十分に引き出せない状態になります。


ゆえにリーンアウトで走行中に濡れた路面や落ち葉・砂を踏んだ場合、想定より早くタイヤがグリップを失い転倒してしまうケースがあります。これは健康・安全に関わる重大なリスクです。


さらにリーンアウトはバンク角が深くなりやすい構造を持っています。ハーレーのようにバンク角に限界が低いバイクでは、リーンアウトを使うとステップや車体底部が接地しやすくなり、それ以上バンクできなくなる限界が早く来てしまいます。これはスポーツバイクでも同様のことが起こりえます。


また、リーンアウトはセルフステアが引き出しにくい構造でもあります。本来バイクは適切に傾けるとステアリングが自然に切れて旋回する「セルフステア」という機能が働きます。ところがリーンアウトではこの働きが弱くなるため、ライダーが意図的にハンドルを切る必要が出てきます。これがさらに転倒リスクを高める原因になります。


厳しいところですね。


自分のフォームを確認したい場合は、走行中の後方動画を撮影するか、タイヤの摩耗跡をチェックするのが有効です。左右のタイヤ端の摩耗幅に大きな差がある場合、片側のコーナリングでリーンアウトになっている可能性があります。特に多くのライダーが苦手とする「右コーナー」でリーンアウトになりやすい傾向があるので、注意が必要です。


参考情報:リーンアウトの危険性とセルフチェック方法を詳しく解説しています。


7割以上が間違えている!?リーンアウトの注意点・危険性|ridelikeapro


リーンインのバイクでの正しい使い方と「弱リーンイン」という発想

リーンインというと、白バイやジムカーナで見るような「膝をイン側に落とし、体をバイクよりかなり内側に倒し込む」フォームをイメージするライダーも多いです。しかし公道で日常的に使う「リーンイン」は、そこまで大げさに体を動かすものではありません。


リーンインの最大のメリットは、バンク角を浅くしたまま曲がれる点です。これは特に雨の日や、砂・落ち葉がある路面で大きな意味を持ちます。タイヤは傾けるほどスリップのリスクが上がるため、バンク角を抑えながらコーナリングできるリーンインは、滑りやすい状況への対応力が高いのです。


白バイ隊員がリーンインを多用するのもこの理由からです。白バイにはエンジンガードやサイドボックスが装備されているためバンク角に制限があり、浅いバンク角でも速くコーナリングするために体をイン側に入れるリーンインが必然的な選択になっています。これは使えそうです。


デメリットとしては、コーナリング中に頭がイン側に入るため、コーナーの先が見にくくなる点があります。また、万が一タイヤが滑った際に体がバイクより内側に入っているため、立て直しが難しくなるという点も知っておく必要があります。


そこで現場のライダーやインストラクターが推奨しているのが「弱リーンイン」というアプローチです。基本はリーンウィズで走りながら、体の動きがバイクより少しだけ先行するイメージで重心をイン側に置く感覚です。大げさに体を倒し込まず、上体を「ほんのわずかだけイン側に先行させる」ことで、バンク角の余裕を作りながら視界も保てます。


特に左右のコーナーで乗り方に差があるライダーに有効です。片方のコーナーだけ「体が外に逃げている」と感じる場合、弱リーンインで上体を少し先行させる意識を持つと左右の均一化につながります。


リーンインの練習として最初に効果的なのは、停車中のバイクに跨り、サイドスタンドを立てた状態で上半身だけをゆっくりイン側に動かす練習です。この時に外肘を伸ばして内肘を曲げる腕のフォームを体に染み込ませることが、走行中のフォーム習得への近道になります。


参考情報:リーンインと弱リーンインの使い分けについて詳しく書かれています。


【リーンインで上手くなる!】|奥本雅史/二輪ライディングアドバイザー|note


リーンアウト・リーンインをバイクの公道シーン別に使い分ける方法

3つのフォームを理解したら、次は「どのシーンでどれを使うか」の判断力を身につけることが大切です。結論として、公道の9割はリーンウィズで問題ありません。リーンアウトとリーンインは、特定の条件下で使う「引き出し」として持っておくべきテクニックです。


  • 🔄 Uターン・極低速旋回:リーンアウトが有効。バイクだけをバンクさせて体を起こすことでハンドルを大きく切れ、最小旋回半径で曲がれる。広い駐車場での切り返しや、せまい交差点でのUターン時に活用できる。
  • 🌧️ 雨天・滑りやすい路面のコーナー:リーンインが有効。バンク角を浅くしながらコーナリングできるため、タイヤのグリップ消費を抑えられる。ただし視界が悪くなることを忘れずに。
  • 🏔️ ブラインドコーナー(先が見えないカーブ):リーンアウトが有効。上体が外側にあるため視界が高く広くなり、コーナーの先を早めに確認しやすい。ただし高速域でのリーンアウトは転倒リスクが上がるため、低速でゆっくり確認する場面に限定すること。
  • 🏁 ワインディングでのスポーツ走行:リーンウィズが基本で、コーナーの深さに応じてリーンイン気味を加える。ハングオフはサーキット専用と考えたほうが安全。
  • 🛤️ オフロード・砂利道・ダート:リーンアウトが基本。滑った時に立て直しやすく、外足荷重と組み合わせることで安定性が高まる。


注意しておきたいのは、高速域でのリーンアウトです。これはNGと覚えておきましょう。速度が上がるとタイヤへの荷重不足の影響がより大きくなり、スリップダウンの危険が増します。オフロードのリーンアウトが「低速時の技術」と位置づけられているのもこのためです。


また、コーナーへのアプローチとしてサーキットでよく語られる「アウト・イン・アウト」のライン取りも、公道では推奨されません。対向車や路面上の障害物に対応できないためです。公道では常にインを少し残した走行ラインを維持することが安全の基本です。


各場面でのフォーム切り替えを自然にできるようにするには、コーナー進入前にすでに「このコーナーはリーンウィズで行く」「ここはリーンイン気味にする」という判断を終わらせておくことが重要です。コーナーの途中でフォームをあわてて変えようとすると、バランスを崩すリスクが生まれます。


参考情報:公道でのライディングフォームの状況別使い分けを詳しく解説しています。


ライディングフォームの基本と応用│バイクの旋回技術をマスターしよう|J-N


リーンアウトとリーンインのバイクフォームをセルフ確認・改善する独自の方法

「自分のフォームが正しいか気になるけど、いつも1人で走っているから確認できない」という声はライダーに多いです。ここでは一般的な解説ではカバーされにくい、セルフチェックと改善の実践的な方法を紹介します。


まず最も確実な方法がタイヤの摩耗パターンを見ることです。タイヤのサイド(端)は、バンク角を深くするほど削れていきます。左右の摩耗が均一であればフォームのバランスが取れている証拠ですが、片側だけが大きく偏って削れている場合、そちらのコーナーでリーンアウト気味になっている可能性があります。次回のタイヤ交換メンテナンス時にチェックするだけで確認できます。


次にステムナットを使った頭の位置確認があります。直進走行中に自分の目線の正面にステムナット(ハンドル中心部のナット)が正面に見えていれば、頭がセンターにある証拠です。ナットの側面が見えていればどちらかにずれているサインで、これはコーナリング中でも応用できます。「チラ見」で定期的に確認する習慣をつけると、知らず知らずのうちにフォームが整っていきます。


停車中の鏡練習も効果的です。自宅ガレージや駐輪場などでサイドスタンドを立てた状態でバイクに跨り、フルサイズの鏡があれば横から自分のフォームを確認できます。リーンアウトは上体が外に残っている状態、リーンインは上体が内側に入っている状態を、停車中に繰り返し体に覚えさせることができます。大げさに動かすほど体に記憶されやすいです。


スマートフォンの後方カメラ動画も便利です。荷台やリアシートにスマートフォンをマウントして後方からの動画を撮影すれば、自分のフォームを客観的に確認できます。コーナリング中に体がバイクより外に出ていればリーンアウト、内に入っていればリーンイン、ほぼ同じならリーンウィズです。GoPro等のアクションカメラを使えばより安定した映像で確認できます。


フォーム改善に役立つアイテムとして、ライディングスクールへの参加もあります。MFJ公認などのインストラクターがいるスクールでは1日の受講で自分の弱点フォームを指摘してもらえるため、独学で長期間かけるより効率的に改善できることが多いです。費用は1回あたり5,000〜15,000円程度のスクールが多く、転倒や修理費用を考えると投資対効果は高いです。


これが条件です。正しいフォームを身につけるのは、速く走るためだけでなく、転倒・怪我のリスクを下げるための安全投資でもあります。


参考情報:ライディングアカデミー東京の佐川校長によるフォーム解説とチェック方法。


安定したライディングフォームとは?コーナリングフォームのポイント|バイクブロス