レインタイヤ バイク用の選び方と雨天走行で知るべき注意点

レインタイヤ バイク用の選び方と雨天走行で知るべき注意点

レインタイヤとバイクの雨天走行で知っておくべきすべて

ハイグリップタイヤをつけていると、雨の日でも安心して走れると思っていませんか。実はハイグリップタイヤは70〜80℃以上にならないと本来のグリップを発揮できず、雨天の冷えた路面では普通のツーリングタイヤより滑りやすいことがあります。


🏍️ この記事でわかること
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レインタイヤの正体と公道使用NG理由

レース用レインタイヤは公道走行が法律で禁止。溝があっても「公道不可」の理由を詳しく解説します。

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雨天で本当に危険なタイヤとは?

スリップサインが出たタイヤは違反点数2点+反則金9,000円。摩耗タイヤの制動距離は新品より約1.5倍伸びます。

公道ライダーに最適なウェット対応タイヤ

ミシュランROAD 6・ブリヂストンT33など、雨天でも安心して使えるツーリングタイヤの選び方を比較紹介します。


レインタイヤとはバイク用のどんなタイヤか:種類と基本構造



「レインタイヤ」という言葉には、実は2つの意味があります。まず知っておくべきことですね。


ひとつは「レース専用レインタイヤ」、もうひとつは「公道向けウェット対応タイヤ」です。この2つをごちゃまぜに理解しているライダーが非常に多く、タイヤ選びで失敗する原因にもなっています。


レース専用レインタイヤは、MotoGPや国内サーキットのレインコンディションで使用される、文字どおりの雨専用タイヤです。構造がまったく特殊で、低温でもグリップできる柔らかいコンパウンドと、変形しやすいカーカス(内部繊維構造)の組み合わせによって成立しています。雨の中でも膝を擦るほどのバンク角で走れるのは、このタイヤが低温環境でも路面への追従性を確保できるよう設計されているからです。


ただし、この柔らかさがドライ路面では裏目に出ます。乾いた路面を走ると摩擦熱が急上昇してトレッドがちぎれ始め、瞬く間にボロボロになります。つまり、耐久性はレース1本分程度しかありません。


一方、公道向けウェット対応タイヤは「ツーリングタイヤ」のカテゴリに入ります。これはシリカ配合のコンパウンドや深めのトレッドパターンを採用することで、ドライでもウェットでも安定してグリップできるよう設計されています。こちらが公道ライダーにとっての「実用的なレインタイヤ」と言えるものです。


| 種類 | 用途 | 公道使用 | 耐久距離目安 |
|------|------|----------|-------------|
| レース用レインタイヤ | サーキット雨天 | ❌ 不可 | レース1本分程度 |
| ツーリングタイヤ(ウェット対応) | 公道全般 | ✅ 可能 | 約1万〜2万km |
| ハイグリップタイヤ | 主にドライ走行 | ✅ 可能 | 約3,000〜5,000km |


つまり公道ライダーが選ぶべきは「ウェット性能の高いツーリングタイヤ」が基本です。


ダンロップ|タイヤ基礎知識・スリップサインと安全使用の解説(ダンロップ公式)


レインタイヤがバイクの公道走行で使えない法的根拠と違反リスク

サーキット走行経験者の中には、「雨の日だけ公道でレース用レインタイヤを使えないだろうか」と考えたことがある方もいるかもしれません。それは厳禁です。


道路運送車両法では、公道を走行するタイヤに対してトレッド溝の最低深さ(バイクは0.8mm)を義務付けています。また、レース用レインタイヤのサイドウォール(側面)には「For competition use only(競技専用)」と刻印されており、これは公道使用不可を明示するものです。この状態で公道に出れば、道路交通法の整備不良車両として取り締まりの対象になります。


違反が発覚した場合の罰則は明確で、違反点数2点と反則金9,000円が科されます。さらにスリップサインが出ていなくても、タイヤそのものが競技専用品であれば車検にも通りません。


競技専用タイヤはそもそも日本では流通が自主規制されており、販売対象はレース参加者に限られます。「安い中古を見つけた」という話もありますが、安全上も法律上も公道での使用はNGと考えてください。


一般公道で使えるウェット対応タイヤを選ぶ際には、タイヤのサイドウォールに「DOT」マークや「E」マークが刻印されているものを選ぶのが確認方法の基本です。これが公道使用適合品の証になります。


ヤングマシン|スリップサインと整備不良の関係・タイヤ交換タイミングの詳細解説


バイクの雨天走行でレインタイヤより危険な「摩耗タイヤ」問題

雨天走行を考えるとき、多くのライダーはタイヤの種類に注目します。しかし実際に最も危険なのは、タイヤの種類よりも「摩耗の進んだタイヤで雨天を走ること」です。


摩耗タイヤがいかに危険かを数字で確認しましょう。新品タイヤと比較した場合、摩耗が進んだタイヤの雨天時の制動距離は約1.5倍延びることがわかっています。具体的には、時速60kmで走行中ブレーキをかけた場合の停止距離が、新品では約20m程度のところ、摩耗タイヤでは30m以上になるケースもあります。乗用車5台分のスペースが余計に必要になるわけです。


バイク用タイヤはトレッド溝の中に「スリップサイン」という目印があります。バイクの場合は残り溝0.8mmになると露出する仕組みで、タイヤ側面の△マークが指し示す位置に小さな盛り上がりが設けられています。このスリップサインが一か所でも路面に現れたら、そのタイヤは使用限界を超えています。


しかし注意すべき点がもう一つあります。スリップサインが出ていなくても、溝が浅くなっているタイヤは雨天で急激に性能が落ちます。残り溝が3〜4mm程度になってくると、晴天時は問題なくても雨天では排水が追いつかなくなり、ハイドロプレーニング現象(水膜でタイヤが浮き上がる現象)が起きやすくなります。


| 状態 | 雨天時の制動距離への影響 |
|------|----------------------|
| 新品タイヤ(溝8mm前後) | 基準値 |
| 中間摩耗(溝3〜4mm) | 約1.2倍〜1.3倍 |
| 摩耗進行(溝1.6mm以下) | 約1.5倍以上 |


スリップサインはタイヤの交換目安ではなく「使用限界の証明」と捉えておく必要があります。


ライダーズアカデミー(2輪館)|バイク初心者向けスリップサインの見方と危険性の詳細解説


バイクのレインタイヤ選びで失敗しないウェット性能の見方

公道ライダーにとっての「レインタイヤ」とは、ウェット性能に優れたツーリングタイヤのことです。では具体的にどの点を確認して選べばよいのでしょうか?


注目すべき性能指標は主に3つあります。「シリカ配合量」「トレッドパターンの溝面積比」「温度依存性の低さ」です。


まずシリカ(二酸化ケイ素)配合について。シリカはタイヤのゴムに混ぜることで、濡れた路面での摩擦力を向上させる役割を持ちます。ミシュランROAD 6では100%シリカテクノロジーを採用し、前モデル比でウェットグリップ性能を15%向上させています。


次にトレッドパターンの溝面積比ですが、溝が多いほど排水性は上がります。ただし溝の面積が増えるとドライでの接地面積が減るため、純粋なドライグリップは下がります。この兼ね合いをバランスよく設計しているのがツーリングタイヤの特徴です。


そして温度依存性の低さが最重要ポイントです。これが最重要です。ハイグリップタイヤはサーキット走行を前提に設計されており、動作温度が70〜80℃前後と非常に高め。雨天の冷えた公道ではタイヤが全く温まらないため、逆にグリップを発揮できない状態になることがあります。一方、ツーリングタイヤは20〜30℃という一般的な路面温度でも安定してグリップを発揮できる設計です。


ツーリングタイヤの主要モデルと特徴を比較すると次のとおりです。


| モデル名 | メーカー | ウェット性能の特徴 |
|---------|---------|-----------------|
| ROAD 6 | ミシュラン | ウェットグリップ前作比15%向上・シリカ100% |
| BATTLAX T33 | ブリヂストン | 摩耗後も高いウェット性能を維持 |
| ROADSMART IV | ダンロップ | ハイシリカ配合+CTT技術で雨天安定 |
| ANGEL GT II | ピレリ | デュアルコンパウンドでドライ/ウェット両立 |


雨の多い地域に住んでいたり、梅雨〜秋雨シーズンに多くツーリングするライダーは、タイヤ交換の際にウェットグリップ性能の高いモデルを意識して選ぶことで、転倒リスクを大幅に下げられます。


ミシュランジャパン|バイク用タイヤに関するFAQ・ウェット性能の解説(ミシュラン公式)


ハイグリップタイヤを雨天で使うバイクライダーが見落とす温度リスク

峠走りやスポーツ走行が好きなライダーほど、ハイグリップタイヤを愛用している傾向があります。しかし雨天でのその選択は、意外な落とし穴を生みます。


ハイグリップタイヤのグリップ力が最大に発揮されるのは、タイヤ温度が70〜80℃以上に達した状態です。これはサーキットのような全力走行を前提とした設計のため。公道で雨天走行をしている状況では、タイヤは温まるどころか路面の冷たさで冷やされ続けます。


晴天時の通常走行でさえ、公道でハイグリップタイヤが動作温度に達するには相当な距離が必要です。雨天ではほぼ動作温度に達しないと考えてよいでしょう。つまりハイグリップタイヤを履いているのに、実際のグリップ力は安価なタイヤ以下になっているケースが発生し得ます。


厳しいところですね。


さらにハイグリップタイヤはトレッドの溝が少なく、ドライでの接地面積を最大化した設計です。そのため排水性もツーリングタイヤに比べて劣ります。価格もハイグリップタイヤは前後セットで3万〜5万円程度と高く、ライフも3,000〜5,000km程度と短め。コストパフォーマンスの面でも雨天走行が多いライダーには向いていません。


雨天でも安心して走れるタイヤが必要な場面(通勤や梅雨時のツーリングなど)では、温度依存性が低いツーリングタイヤへの切り替えを検討してみてください。タイヤ交換費用の目安は工賃込みで前後1.5万〜3万円前後(車種・モデルによる)ですが、転倒リスクの低減という観点では十分に価値のある投資です。


RIDE-HI(根本健のQ&A)|レインタイヤとハイグリップタイヤの動作温度の違い・公道での注意点




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