

XJ600 Diversionは「初心者向けの地味なバイク」だと思っていませんか。実はYZF-R6のエンジンがベースで、77.5PSを発揮します。
ヤマハ XJ600の歴史は1984年まで遡ります。この年に発売された初代XJ600は、日本メーカーが手がけた初めての600ccインライン4シリンダーバイクとして記録されています。同時期に北米市場向けには「FJ600」という名称が与えられており、1台のモデルが地域によって全く異なる名前で呼ばれていたというのも、今となっては興味深い事実です。
つまり「XJ600」という名前を知っていても、「FJ600」という名前では全く別のバイクだと思っていた人も少なくないかもしれません。北米ではFJ600、欧州と日本ではXJ600が同一車両というわけです。
初代XJ600は空冷DOHC並列4気筒エンジンを搭載し、最高出力は約72PS(54kW)を発揮しました。当時の600ccクラスとしては非常に高い動力性能を誇り、モノショックリアサスペンションを採用した数少ない初期モデルの一つでもあります。車体重量は約212kg(wet)と、今の目線で見ると決して軽くはありませんが、当時のミドルクラスの基準では標準的な数値でした。
1991年には生産を終了し、後継モデルのYamaha Diversion(北米でのSeca II)にバトンタッチします。ここが重要な点で、「XJ600」というモデル名がなくなっても、その精神は「ディバージョン」シリーズとして現代まで受け継がれているのです。
初代XJ600の後継として1992年に登場したXJ600Sディバージョン(欧州名「Diversion」、北米名「Seca II」)は、空冷DOHC2バルブ4気筒エンジンを搭載し、日本国内でも1992年から販売が開始されました。最高出力は57ps(日本仕様)〜61ps(海外仕様)、最大トルクは5.3〜5.4kg-mというスペックで、性能よりも扱いやすさを重視した設計でした。
さらに1994年には、欧州向け限定でネイキッドモデルの「XJ600N」が追加されました。これはカウルを外してシンプルなスタイルにしたモデルで、ヨーロッパ市場の「タウンユース重視」というニーズに応えたものです。日本では当時XJR400というネイキッドモデルが展開されていたため、XJ400Nに相当するモデルは生産されませんでした。
そして2009年、ディバージョンシリーズは大きく進化します。全面新設計の水冷DOHC16バルブ並列4気筒エンジンを搭載した現行世代「XJ6ディバージョン」が欧州向けに登場しました。最高出力は57kW(77.5PS)、最大トルクは6.1kgf・m(8,000rpm)と、旧世代から大幅に向上しています。
| モデル | 年式 | エンジン | 最高出力 |
|---|---|---|---|
| XJ600(初代) | 1984〜1991 | 空冷DOHC 4気筒 | 約72PS |
| XJ600S Diversion | 1992〜2004 | 空冷DOHC 2バルブ 4気筒 | 57〜61PS |
| XJ600N | 1994〜 | 空冷DOHC 2バルブ 4気筒(ネイキッド) | 57〜61PS |
| XJ6 Diversion | 2009〜2017 | 水冷DOHC 16バルブ 4気筒 | 77.5PS |
現行世代のXJ6には、ハーフカウルの「Diversion」、ネイキッドの「N」、フルカウルの「Diversion F」の3バリエーションが用意されています。それぞれABSありなしも選択可能でした。
XJ6ディバージョンのエンジンは、実はヤマハが誇る世界水準のスーパースポーツ「YZF-R6」のエンジンをベースに大幅なモディファイを施したものです。一般的に「ツーリング向けの穏やかな600cc」というイメージで語られることの多いXJ6ですが、その心臓部の出自を知れば、「お得なバイク」という評価がさらに高まります。
ただし「流用」という表現は正確ではありません。シリンダーヘッドのポート形状を細く絞り込み、吸排気バルブのオーバーラップ角とバルブリフト量を全面的に最適化することで、低中回転域のトルク特性とドライバビリティを根本から作り直しています。圧縮比は12.2:1と、公道用バイクとしてはかなりの高圧縮仕様です。
これが基本です。YZF-R6の「攻撃性」を取り除き、街乗りから高速ツーリングまで日常的に使えるエンジンに仕上げたのがXJ6のエンジン開発コンセプトでした。
最高出力は77.5PSを10,000rpmで発揮し、最大トルクは6.1kgf・mを8,000rpmで発揮します。日常域で多用する4,000〜7,000rpmの回転域でのトルクが豊かで、「スーパースポーツほど気を遣わずに乗れる4気筒」という点が、欧州ライダーから高く評価されました。
さらにフレームは高張力スチールパイプのダイヤモンドタイプを採用。横剛性をあえて弱めに設定することで、フレームのしなりを活かしたスムーズなコーナリングを実現しています。フロントフォークのインナーチューブ径はφ41mm、シート高は785mmと低く設定されており、足着き性も良好です。
参考:ヤマハ発動機によるXJ6 Diversionの公式ニュースリリース(エンジン設計の詳細を確認できます)
ヤマハ発動機 ニュースリリース 2008年9月 欧州向けニューモデル「XJ6 Diversion」について
現行世代のXJ6ディバージョンシリーズは、日本国内では正規販売が行われていません。欧州向け専用モデルとして設計・販売されており、日本で乗るためには逆輸入車を入手するしか方法がないのです。これは意外に思われる方も多いはずです。
街乗りでほとんど見かけないのも当然で、国内中古車サイトのグーバイクで確認できる流通台数はわずか6台前後。平均価格は約49.7万円で、希少性の高さの割にはリーズナブルな価格で入手できる車両です。
逆輸入車であることはいくつかの注意点を生じさせます。最初に理解しておくべきポイントを整理しておきましょう。
- 純正消耗品の入手コスト:エアクリーナーやオイルフィルターなどの消耗品は、国内仕様車と比べて1.5〜2倍程度の費用がかかる場合があります。とはいえ一回あたりの金額自体は数百〜数千円程度の差にとどまります。
- 車種専用アフターパーツの少なさ:国内市場向けではないため、車種専用パーツの流通が少ない。ただしPuigのリアフェンダーやMRAのスクリーンなど、海外メーカーがXJ6向けのパーツを豊富にラインナップしているため、逆に「海外パーツで格好良くカスタムできる」という楽しみ方もあります。
- 保険・車検:逆輸入車であっても日本の保安基準に適合していれば通常通りの車検を受けられます。任意保険も国産車と同様に契約可能です。
逆輸入車ならではのメリットもあります。街中での被りがほぼゼロという「独自性」は、XJ6オーナーが口をそろえて挙げる魅力のひとつです。また欧州メーカーのPuigやSCORPIONなど、国内では流通量の少ないカスタムパーツが適合することも多く、個性的な1台に仕上げやすい車両でもあります。
参考:日本国内でのXJ6 Diversion F入庫事例・現車確認情報
バイク館川口店によるXJ6 Diversion F入庫紹介記事(逆輸入車の国内流通実態が確認できます)
XJ6ディバージョンの中古車を選ぶ際には、逆輸入車特有のポイントを事前に押さえておくことが重要です。
まず確認すべきなのが、発電系のコンディションです。XJ6ディバージョンのオルタネーター(発電機)は3,000rpm前後から本格的な発電を始める特性を持っています。渋滞での低回転走行が続く場面や、グリップヒーター・USB機器など電装品を多用している場合は、消費電力が発電量を上回りバッテリーへの負荷が増大します。冬場の渋滞路でグリップヒーターを使いながら長時間走行するような使い方には注意が必要です。
次に確認したいのが燃料系です。燃費については概ね14〜21km/L程度の幅があり、通勤・街乗り中心なら14〜17km/L、高速ツーリング主体なら20km/L前後が目安です。燃料タンク容量は17.3リットルなので、航続距離はおよそ240〜345km程度と見ておけばよいでしょう。
- 走行距離とメンテナンス履歴:逆輸入車は整備記録がない場合もあるため、購入前にエンジンの始動性・異音の有無、チェーンの伸び、タイヤの溝量などを確認する。
- カウル類の傷・ひび:ハーフカウルまたはフルカウル(Fモデル)のひびや割れは修理費が高くつきやすい。ロングスクリーンへの換装とあわせて検討する価値があります。
- シート高の調整:純正シート高は785mmで足着き性はまずまずですが、身長に不安があればシートのアンコ抜きで低く調整することもできます。これが条件です。
維持費の観点では、車両重量211kgと扱いやすいサイズながら大型バイクのため、任意保険はしっかり加入しておくことが基本です。年間の維持費としては、自賠責・任意保険・軽自動車税・消耗品・車検費用を合算すると、一般的に年間15〜25万円程度を見込んでおくと安心です。
参考:バイク全般の消耗品・中古車購入時の注意点について詳しく解説されています
バイク館による中古車消耗品チェックポイント解説
XJ6ディバージョンの最大の個性のひとつが「街中で絶対に被らない」という点です。国内流通台数が極めて少ないため、カスタムをほとんどしなくても周囲に埋もれることがありません。これはリセールや実用面とは別次元の「バイクライフの充実度」に直結します。
逆輸入車ゆえに車種専用の国産パーツはほぼ存在しませんが、欧州メーカーのカスタムパーツが豊富に対応しています。実際のオーナー事例として、以下のようなカスタムが費用対効果の高さで評判です。
- ロングスクリーン(MRA製など):純正より縦に長いスクリーンに換装することで、高速走行時の風圧が大幅に軽減されます。高速ツーリングでの疲労感が目に見えて変わります。取り付けはボルト交換のみで済む場合が多く、DIYでも対応可能です。
- カーボン調リアフェンダー(Puig製):外観のスポーティさが一気に引き上がります。値は張りますが満足感は高い。
- スリップオンマフラー(SCORPION製など):XJ6のサイレンサーはやや特殊な形状のため、ただのマフラーカッターでも見た目のインパクトが大きい。音を本格的に変えたい場合はエキパイからの交換が必要になります。
- キーレスガソリンキャップ:給油のたびにキーを取り出す手間がなくなります。費用は送料込み1,500円程度で済む場合もある手軽なカスタムです。
これは使えそうです。特にロングスクリーンとリアフェンダーの組み合わせは、見た目と実用性を同時に向上させるコストパフォーマンスの高いカスタムといえます。
カスタムパーツを探す際は、国内バイク用品店よりもAmazon.co.jpやYahoo!オークションで「XJ6 Diversion」をキーワードに検索するほうが適合品が見つかりやすい傾向があります。海外通販では送料込みでも国内定価より安く手に入る場合があるので、チェックしておくと得をします。
参考:実際のXJ6 Diversionオーナーによるカスタム手順と費用の詳細
YAMAHA XJ6 Diversionカスタム実例ブログ(各パーツの取り付け手順・費用感が確認できます)

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