trx850 カスタムで270度クランクパラツインを乗りこなす方法

trx850 カスタムで270度クランクパラツインを乗りこなす方法

trx850 カスタムで270度クランクパラツインを乗りこなす全知識

音量オーバーのマフラーで走ると、違反点数2点と反則金7,000円が一度にのしかかります。


TRX850 カスタム完全ガイド
🔧
マフラー交換の基礎知識

JMCA認定マフラーなら車検も安心。アクラポビッチやノジマなど定番ブランドの選び方と音量規制(近接排気騒音94dB以下)の注意点を解説。

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ハンドル・ポジションカスタム

セパハン純正から数百円のスペーサーで20mmアップも可能。バーハン化キット(約13,000円〜)でツーリング適性が大幅向上。車検との関係も詳しく説明。

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サスペンション・足回りカスタム

純正フロントフォークは減衰調整機能付き。リアをオーリンズYA524に交換するオーナーが多く、XJR1200フロントフォークの流用も実績あり。


TRX850 カスタムの前に知っておきたい車両の基本特性



TRX850は1995年から1999年まで国内販売されたヤマハのスポーツバイクです。世界で初めて270度クランクの並列2気筒エンジンを市販バイクに採用したモデルとして、バイク史に名前を残す一台です。現在主流のMT-07やYZF-R7の"ご先祖様"にあたる存在であり、単なる旧車ではなくヤマハの現代的ツイン文化を生み出した記念碑的モデルとも言えます。


エンジンは水冷DOHC5バルブの849cc並列2気筒で、最高出力83ps/7,500rpm、最大トルク8.6kgm/6,000rpmというスペック。専用設計のスチール製トレリスフレームにブレンボ(いわゆる"ヤマンボ")キャリパーを純正装備するなど、コストをかけたパーツ構成が特徴です。


一方でクセが強い部分もあります。


ギア比はサーキット寄りに設定されており、街乗りでは3速すら使わずに走れることも多く、5速が本領を発揮するのは100km/h以上の領域です。さらに低回転域のトルクが薄く、2,500回転以下はスカスカした感覚があります。4,000回転を超えてからパワーバンドに入るという、大型バイクとしては独特の特性を持っています。つまり、乗り手の腕を選ぶバイクということですね。


こうした特性を踏まえたうえで、どこをどうカスタムすれば走りや使い勝手が向上するか、以降の各セクションで具体的に見ていきましょう。


| 項目 | 数値 |
|------|------|
| エンジン形式 | 水冷DOHC5バルブ並列2気筒 |
| 総排気量 | 849cc |
| 最高出力 | 83ps/7,500rpm |
| 最大トルク | 8.6kgm/6,000rpm |
| 車両重量 | 206kg(乾燥)|
| タイヤ(前) | 120/60ZR17 |
| タイヤ(後) | 160/60ZR17 |
| フューエルタンク | 18L(予備3.5L)|


TRX850のカスタムベースとしての魅力は、専用フレームの完成度と純正サスペンションの調整機能の高さにあります。フロントフォークはすでに減衰力調整機構を備えており、後述するセッティングだけでも走りを大きく変えることができます。これが基本です。


参考情報:ヤマハ公式の270度クランク技術解説(TRX850が市販車初採用モデルとして紹介されています)
ヤマハ発動機公式:270度位相クランクパラレルツイン技術解説


TRX850 カスタム定番のマフラー交換と音量規制の落とし穴

TRX850のカスタムで最もオーナーが手をつけるのがマフラー交換です。純正マフラーは重量があり、エキゾーストノートも控えめなため、軽量化と音質向上を目的に交換する人が多い傾向にあります。定番として挙がるブランドはノジマエンジニアリングのFASARM SやアクラポビッチのスリップオンSシリーズです。


ただし、マフラー交換には確認必須の規制があります。


TRX850は1999年以前のモデルのため、近接排気騒音の基準は「平成10年規制」が適用されます。この規制では近接排気騒音99dB以下が基準値となっていますが、2010年以降に製作されたアフターマフラーを装着する場合は別の条件も加わります。スリップオン(純正触媒より後ろを交換する形式)の場合、JMCAプレート付きで近接排気騒音94dB以下かつ加速走行騒音82dB以下であることが車検通過の条件です。


しかし、ここに盲点があります。


車検を通過しても、走行中に警察の取り締まりで基準超過を指摘されると話が変わります。整備不良として扱われ、違反点数2点・反則金7,000円(二輪の場合)が科せられます。さらに不正改造と判断された場合は6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が定められており、金銭的ダメージが大きいです。


インナーサイレンサーについても注意が必要です。2010年4月以降の新しい規制では「騒音低減機構を容易に除去できる構造は禁止」とされており、脱着式のインナーサイレンサーをつけて車検を通す手法は原則NGになっています。


対策として選びたいのは、JMCAまたはEU認証(e-mark)取得済みのマフラーです。購入前に音量の実測値が明記されているか確認してから選ぶのが原則です。ウェビックやモノタロウなどで「TRX850 マフラー JMCA」と絞り込めば適合製品を探しやすくなります。


| マフラー種別 | 主なメリット | 車検対応 |
|------------|-------------|---------|
| スリップオン(JMCA付)| 軽量・音質向上・費用抑えめ | ◎ 条件付きで対応 |
| フルエキゾースト(JMCA付)| 最大の軽量化・性能向上 | ◎ 条件付きで対応 |
| JMCA未取得品 | コスト安い場合あり | △ 自己責任 |
| 純正流用・中古純正 | 確実に適法 | ◎ |


参考情報:バイクのマフラー音量規制と取り締まり罰則について詳しくまとめられています
8190.jp:バイクの騒音問題の対処法とライダーへの注意点解説


TRX850 カスタムでポジション改善するハンドル交換の全手順

TRX850の純正ポジションはセパレートハンドルセパハン)寄りの設計で、長距離ツーリングでは前傾がきついと感じるオーナーが多い一台です。実際、バーハン化したオーナーが「今まで年間走行距離が300キロ未満だったのに、バーハン化後は距離が伸びた」と語るケースも珍しくありません。


最もコストがかからない方法は、ホームセンターで購入できる六角ボルトと長さ20mmのステンレス製スペーサーを使ったハンドルアップです。数百円の出費でハンドルを約20mm高くでき、ワイヤー類の調整も不要という手軽さが魅力です。さらにハンドルを左右逆向きに取り付けるだけで追加40〜45mmのアップも可能で、合計で50mm前後のアップを低コストで実現できます。これは使えそうです。


本格的なバーハン化にはアントライオン製のバーハン化キットが定番です。41径フォーク対応のキットが用意されており、アマゾンなどで13,000円台から入手できます。ハンドルはXJR1200用のものを流用するオーナーも多く、穴の位置が合うため加工が最小限で済みます。取り付け時間の目安は約2〜3時間程度です。


車検との関係も押さえておく必要があります。


ハンドル交換後の車検について「幅や高さが変わらなければ構造変更申請は不要」という認識が一般的ですが、正確にはハンドルの端部の高さ・幅が純正から変化した場合は「記載事項変更」または「構造変更申請」が必要になるケースがあります。ハンドル幅が50mm以上変化した場合は記載変更が必要です。


また、バーハン化に際してはワイヤー類・ホース類の長さが不足することがあります。クラッチワイヤーはTDM850用のものが流用可能という実例もあります。スロットルケーブルは購入時点でハイスロ仕様になっていれば長さが足りることがありますが、現物合わせで確認するのが確実です。


🔧 バーハン化に必要なパーツ確認リスト


- バーハン化キット(41径 or 43径確認)
- ハンドルバー本体(XJR1200純正流用も可)
- クラッチワイヤー(長さ確認・TDM850用で代用可能な場合あり)
- スロットルケーブル(長さ確認)
- ブレーキホース(長さ確認)
- 電装系ケーブルの延長素材(ホーン側など)


TRX850 カスタムのサスペンション調整とオーリンズ換装のコツ

TRX850は純正のフロントフォークがすでに減衰調整機構付きという、当時の大型バイクとしては贅沢な装備を持っています。つまり、追加費用ゼロでサスセッティングを追い込むことができます。


オーナーの間で広く共有されているセッティングの傾向として、「プリロードを最弱に設定し、伸び側減衰はある程度かけた方が乗りやすい」という結論に至るケースが多いです。フロントが底付きしやすいと感じたらプリロードを強め方向へ、逆に跳ね返りが強くて路面への追従性が落ちると感じたら伸び側減衰を弱める方向に調整するのが基本です。


リアサスペンションに関しては、オーリンズYA524(Type S46Hr1C1LS)への換装が定番カスタムです。標準セッティングとして圧側を最強から8クリック戻し、伸側を最強から12クリック戻しが参考値として知られています。現物合わせで乗りながら微調整するのが前提なので、最初は標準セッティングのまま走り出すのが現実的です。


費用感をまとめると、オーリンズのリアショックは新品で8〜12万円台が相場ですが、ヤフオクなどで中古品を4〜6万円程度で入手しているオーナーも多くいます。


さらに踏み込んだカスタムとしてフロントフォークをXJR1200(4KG)の43φフルアジャスタブルフォークへ移植するという実例もあります。XJR1200のフロント周り(三又・フォーク一式)はTRX850に無加工で移植できると確認されており、フォークが純正より5cm長いためフォーク突き出し量での調整が必要ですが、実現性は高い改造です。


リアサスのオイル滲みは放置すると車体の挙動が不安定になるため、滲みを発見したら早めに対処するのが重要です。


| カスタム内容 | 難易度 | おおよその費用 |
|------------|--------|-------------|
| フロントフォーク減衰調整 | ★☆☆ | 無料 |
| フォークオイル交換 | ★★☆ | 1,500〜3,000円(オイル代のみ)|
| リアサス オーリンズ換装 | ★★☆ | 中古4〜6万円 / 新品8〜12万円 |
| フロントフォーク XJR1200流用 | ★★★ | 中古パーツ代+工賃 |


参考情報:TRX850のフロントサスセッティングについてオーナーが詳細にまとめています
みんカラ:TRX850サスセッティング⑤ フロントフォーク調整まとめ


TRX850 カスタムで見落とされがちな純正部品の入手事情と流用ノウハウ

TRX850の国内販売終了は1999年であり、すでに製造から25年以上が経過しています。純正部品の供給が徐々に終了しており、今後のメンテナンスに影響が出てくることを想定したカスタム計画が必要です。これはTRX850オーナーだけが直面する、非常に現実的な問題です。


とくに消耗品以外のゴム系部品(ダイヤフラムカバーなど)はすでに廃番になっているものがあり、購入前にメーカー廃番の表記が出ている品番も確認されています。知らずに発注して在庫切れが判明し、修理が止まるケースは珍しくありません。


一方で、TRX850のカスタムには心強い流用パーツのノウハウが蓄積されています。


🔁 TRX850でよく使われる流用パーツ


- XJR1200(4KG)フロントフォーク一式 → 三又ごと無加工移植が可能。43φフルアジャスタブルへのグレードアップになる
- XJR1200フロントブレーキローター → XJR1200フォーク換装後はXJR1200ローターが適合
- TDM850用クラッチワイヤー → バーハン化の際に長さが合いやすい
- XJR1200用ハンドルバー → 穴位置がTRXと合致し、加工不要で流用実績あり
- K&Nリプレイスメントエアフィルター → 純正形状に対応する湿式フィルター(品番確認要)


これらの流用ノウハウはTRX850専用コミュニティのフォーラムやオーナーブログに詳しくまとめられています。中古部品の調達先はヤフオクやメルカリが主流です。状態の良いTRX850フルカスタム車体も50万円前後で流通しており、ベース車両と純正部品をまとめて確保しておくという考え方も実践されています。


また、ブレーキキャリパーは純正がブレンボ製(ヤマンボ)のため、ブレンボ互換のブレーキパッドやシールキットが現在も国内で入手可能です。消耗品については今後も比較的安心して対応できます。これが条件です。


TRX850のカスタムを長く楽しむためには、カスタム費用の予算に加えて「予備部品の確保費用」も計画に含めておくことを強くおすすめします。走行中に部品が手に入らなくて動けなくなるリスクは、お金と時間の両面で大きなダメージになります。


参考情報:TRX850の詳細スペックとオーナーによるカスタム記録(XJRフォーク移植など実例掲載)
TOMA'S通信 TRX850のページ:長期オーナーによるカスタムと整備の記録


TRX850 カスタムが映える独自ビルド──270度クランクの特性を活かすトータルセッティング思想

TRX850のカスタムを語るとき、多くのオーナーがマフラーやハンドルといる個別パーツの交換にフォーカスしがちです。しかし、このバイクの本来の魅力である「270度クランクパラツインが生み出すトラクション感」を最大限に引き出すためには、パーツ交換よりも先にセッティングの方向性を決めることが重要です。


TRX850はコーナリングマシンとして設計されていますが、その性能を活かすシーンは「タイトな峠の低速コーナー」ではなく「ハイスピードレンジ(80〜120km/h)の緩いコーナー」です。公道では鈴鹿サーキットのような大きなコーナーに近い場面で本領を発揮します。このバイクに合ったカスタムの方向性は2系統に分かれます。


① ツーリング適性を高める方向


バーハン化でポジションを起こし、リアサスをオーリンズに換装して快適性を上げ、ライディングポジションを長距離向けに整える。マフラーはJMCA対応スリップオンで音質と軽量化を両立。エアフィルターをK&Nに換装して中回転域の吸気レスポンスを改善するのもあわせておすすめです。


スポーツ走行に磨きをかける方向


フロントフォークをXJR1200の43φフルアジャスタブルに換装して剛性と調整幅を確保。バックステップで前傾ポジションを強化し(yokoG工房製など実績品あり)、ブレーキパッドをデイトナ赤パッドなど制動力強化型に変更する。270度クランクが生む独特の加速感を前後のサスでしっかりと受け止める構成を目指す方向です。


どちらの方向でも共通して推奨されるのが、タイヤのアップグレードです。純正サイズは前120/60ZR17・後160/60ZR17であり、現在も多くのスポーツタイヤが対応しています。ダンロップGPR200やメッツラー Roadtec Z8 Interactを選んでいるオーナーが多く、純正サイズのままでもグリップ性能を大きく向上させることができます。リア1サイズアップ(170/60ZR17)を試しているオーナーも存在します。


270度クランクは加速時に独特のトルクの波を生み出すため、そのリズムに合わせられるライダーにとっては非常に楽しいバイクです。これが原則です。カスタムを重ねるごとにそのリズムとの対話が深まっていくのが、TRX850というバイクの真の魅力と言えるでしょう。


参考情報:TRX850が不人気だった理由とオーナーが感じる実際の乗り味が詳しく書かれています
munenmusou.com:1年乗って分かったTRX850が不人気バイクである理由(オーナーレビュー)




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