

街乗りでも、スーパーチャージャーを全開にするとリッター9kmを切る瞬間があります。
2026年モデルのZ H2 SEは、カワサキが誇る「バランス型スーパーチャージドエンジン」を搭載した998cc水冷直列4気筒DOHC4バルブのネイキッドモデルです。最高出力147kW(200PS)/11,000rpm、最大トルク137N・m(14.0kgf・m)/8,500rpmという数値は、同クラスのライバルを圧倒するレベルにあります。
スーパーチャージャーとは、エンジンのクランクシャフトから動力をとって駆動する機械式過給機のことです。簡単にいえば、シリンダー内に強制的に大量の空気を押し込むことで、同じ排気量の自然吸気エンジン以上のパワーを引き出す仕組みです。一般的な998ccバイクが130〜160PS程度であるのに対し、Z H2 SEが200PSを実現できるのはこのスーパーチャージャーのおかげです。つまり同じ排気量で約25〜50%以上のパワーを実現しているということですね。
| 項目 | スペック |
|---|---|
| エンジン | 水冷4スト並列4気筒DOHC 4バルブ+スーパーチャージャー |
| 総排気量 | 998cm³ |
| 最高出力 | 147kW(200PS)/11,000rpm |
| 最大トルク | 137N・m(14.0kgf・m)/8,500rpm |
| 車両重量 | 241kg |
| シート高 | 830mm |
| 燃料タンク容量 | 19L |
| WMTCモード燃費 | 17.4km/L(クラス3-2、1名乗車時) |
| 価格(税込) | 247万5,000円 |
| 発売日 | 2025年9月27日(土) |
車両重量は241kgと、ミドルクラスのスポーツバイク(例:CBR600RRの約183kg)より約60kg重いことも覚えておく必要があります。これはだいたい成人男性1人分の体重差に相当します。重量が増している分、低速での取り回しや Uターン時には慣れと体力が必要です。
使用燃料はハイオクガソリン指定で、燃料タンク容量は19L。WMTCモード値での燃費は17.4km/Lです。タンクをほぼ満タンにした場合の概算航続距離は約330km程度となります。ただし、スーパーチャージャーをフルに使うハードな走り方をすると、実燃費はリッター9〜11km台まで落ちることもあります。これが原則です。
参考情報として、スーパーチャージャーの技術的な解説についてはカワサキの公式サイトに詳しい内容が掲載されています。
世界に先駆けるカワサキの技術、スーパーチャージドエンジンの仕組み(kawasaki1ban.com)
Z H2 SEが標準のZ H2と決定的に異なるポイントの一つが、電子制御サスペンション「KECS(カワサキ・エレクトロニック・コントロール・サスペンション)」の搭載です。これはショーワのスカイフックテクノロジー(EERA:Electronically Equipped Ride Adjustment)を実装したシステムで、路面状況や走行モードに応じて、前後サスペンションの減衰力をリアルタイムに自動調整します。
KECSが優れているのは、「快適性」と「スポーツ性能」という一見相反する特性を同時に実現できる点です。これは使えそうです。たとえば、荒れた一般道では路面の凹凸をしなやかに吸収しながら、高速コーナーではしっかりとしたダンピングで車体を安定させます。
ブレーキシステムには、フロントにブレンボ製Stylemaモノブロックキャリパー(ラジアルマウント対向4ピストン)+φ320mmのダブルディスクを採用しています。ブレンボStylemaは、同社のラインナップ中でも最上位グレードに位置する製品です。一般的なバイクに採用されるニッシン製やトキコ製のキャリパーと比べ、剛性が高く制動フィールのコントロール性に優れています。これは最高峰の止まる性能を意味します。
また、KIBS(カワサキインテリジェントABSシステム)も搭載されており、IMU(慣性計測ユニット)からのバンク角情報をフィードバックしながらABSを制御します。コーナリング中の急制動でも、より安定したブレーキングが可能になります。ABS搭載が条件です。
2026年モデルのZ H2 SEは、電子制御システムの充実ぶりが際立っています。搭載する主な電子制御を整理すると、エンジン系ではKTRC(カワサキトラクションコントロール)、KLCM(カワサキローンチコントロールモード)、KCMF(カワサキコーナリングマネジメントファンクション)、KEBC(カワサキエンジンブレーキコントロール)、KQS(カワサキクイックシフター)、電子式クルーズコントロール、パワーモード(3種類)が揃っています。走行モードはKTRCとパワーモードを連動させることができ、スポーツ/ロード/レイン等の状況に合わせて最適な設定に一括変更できます。
2026年モデルでの大きなアップデートの一つが、スマートフォンアプリ「RIDEOLOGY THE APP MOTORCYCLE」との連携強化です。具体的には、「音声コマンド機能」と「ナビ機能」が利用可能になりました。
音声コマンド機能を使えば、走行中もグローブをつけたままスマホを操作することなく、音声指示でバイクの各種設定を変更したり情報を確認したりできます。ナビ機能は、スマートフォンと連携して走行ルート案内をTFT液晶メーターに表示できる機能です。ツーリング先で地図を確認するためにいちいち停車する手間が省けます。これは大きなメリットですね。
なお、これら2つの機能は通常有償ライセンスが必要なサービスです。2026年モデルを新車で購入すると、1年間無償で利用できるライセンスが付与されます。2年目以降は有償サービスへの加入が必要になる点は確認しておく必要があります。
フルカラーTFT液晶のメーター画面には、デジタルスピードメーター、ギアポジション、シフトインジケーター、燃料計、残航続距離、燃費、外気温、水温計、時計に加え、スーパーチャージャー独自の「ブースト圧」「ブースト温度」の表示も備わっています。ブースト圧がリアルタイムで確認できるのは、スーパーチャージャー搭載モデルならではの特徴です。
参考として、RIDEOLOGYアプリの詳細情報は公式ページで確認できます。
RIDEOLOGY THE APP MOTORCYCLE 公式ページ(カワサキモータース)|音声コマンド・ナビ機能の詳細
2026年モデルの変更点は、大きく分けて2点です。一つはカラーグラフィックの刷新、もう一つはRIDEOLOGYアプリの音声コマンド・ナビ機能への対応です。車体骨格やエンジン、電子制御システムの変更はありません。
カラーリングは「メタリックマットグラフェンスチールグレー×メタリックマットカーボングレー」の1色展開となっています。2025年モデルが「メタリックマットグラフェンスチールグレー×エボニー」だったのに対し、2026年モデルはボディカラーがよりシックな印象に統一されつつも、ホイールがフレームに近いライムグリーンに変更されている点が目を引きます。また、シュラウド部の車名ロゴはシルバーのメッキエンブレムへと変わり、全体的に高級感が増した仕上がりです。
価格は2025年モデルの234万3,000円から2026年モデルは247万5,000円へと、13万2,000円の値上がりとなっています。
カワサキのネイキッドZ H2シリーズの設計コンセプトは「SUGOMI(凄み)&ミニマリスト」です。SUGOMIとは、獲物に飛びかかろうと身構えた肉食獣のような緊張感と威圧感を表現したカワサキ独自のデザイン哲学です。非対称のラムエア吸気口(左側のみ)がそのSUGOMIデザインの象徴的な要素となっています。
カワサキのヘッドランプカウルに付くリバーマークエンブレム(カワサキの「K」を模したマーク)は、スーパーチャージャー搭載モデルにのみ許されるシンボルです。Z H2 SEがZシリーズのフラッグシップモデルであることを象徴するアイコンとなっています。これがフラッグシップの証です。
参考記事として、2026年モデルの発売時の詳細情報は以下のプレスリリースに掲載されています。
カワサキ「Z H2 SE」新色プレスリリース(PR TIMES)|2026年モデルの変更内容の詳細
Z H2 SE 2026年モデルの新車価格は税込247万5,000円(本体価格225万円+消費税22万5,000円)です。なお、この価格には保険料や登録費用などの諸費用は含まれていません。実際の購入には別途20〜30万円程度の諸費用が加わるのが一般的なため、総額270万円超を想定しておく必要があります。
注目すべき点の一つが「カワサキケアモデル」であることです。これは、新車購入から1か月目の点検に加え、3年間の定期点検とオイル交換(オイルフィルター含む)が無償で受けられる特典です。カワサキプラザ専用モデルであり、カワサキプラザでのみ購入・点検を受けられます。
Z H2 SEのオイル交換について補足すると、指定オイルはSAE粘度10W-40です。オイル容量は全容量4.7L、オイル交換時は3.5L、フィルター交換時は4.3Lです。スーパーチャージャー搭載エンジンは一般的な自然吸気エンジンよりオイル容量が大きいため、自分でオイル交換する場合も使用量が多くなります。カワサキケアの範囲でまかなえる間は積極的に活用すると節約になります。
ランニングコストとして現実的に考慮すべきなのが燃費です。WMTCモード燃費は17.4km/Lですが、実燃費はツーリングメインで17〜20km/L、街乗りやスポーツ走行では9〜13km/L程度まで下がることがオーナーの体験談から確認されています。年間走行距離を1万kmと仮定してハイオクガソリン(1L約175円前後)で計算した場合、年間燃料費は約8万〜19万円という大きな幅があります。走り方が維持費に直結するということですね。
タイヤについては、太いリアタイヤ(190/55ZR17)はハード走行が多いと5,000km前後での交換が必要になるケースもあり、交換費用は前後セットで3〜5万円程度かかります。消耗品のコストも含めて年間の維持費を試算してから購入を決断するのが理想的です。
参考として、カワサキケアの詳細内容は公式サイトで確認できます。
カワサキケア公式ページ(カワサキモータース)|無償点検・オイル交換の対象内容と期間